教科の枠を超えて

国語で「青春俳句」を創作
私立桜丘中・高等学校

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6月22日に、東京・北区にある私立桜丘中・高等学校において、「e−教育 実践報告会」が開催された。桜丘中・高等学校は、文部省の「学校の情報化推進のためのネットワーク活用方法研究開発事業」研究指定校になっている。
 同校の「e−教育」は、「学習への興味の惹起」と「進学教育への動機付け教育」という二つのテーマを持っている。これを基にし、教科の枠を越えた横断的・総合的な教育を「教際教育」と名づけ、実践を進めている。
 乙川博士校長は、「e−教育により、これまでの伝統的な教壇教育から支援教育へと変革をおこなっています」と語り、先生中心から生徒中心の教育を目指していることを説明した。

特色あるPC教室、充実のインターネット環境
 報告会には、全国から約70名の教師・教育関係者が集まり、生徒たちの普段の授業風景と校内の見学が行われた。
 同校には、「SMART Lab」というコンピュータ教室が2教室あり、それぞれ50台のWindowsパソコンが導入されインターネットに接続されている。この日は、「SMART Lab1」で、高校2年生のクラスが政治経済の用語調べを、インターネットを使って行っていた。「SMART Lab2」では、中学2年生のクラスがネチケットをテーマにwebサイト検索や基本的ルールの学習が進められている。
 この他、英語学習ソフトや教育ソフトがインストールされたマッキントッシュが24台設置された「CALL教室」があり、ネイティブスピーカーの教師が英語のみを使い、授業を進める。当日も、目的の場所までの道順を英語で表現し、その内容をメールに書くという課題が行われていた。
 さらに、従来の図書館機能にコンピュータを付加した「メディア・リソース・センター」(MRC)がある。ここにはデスクトップと無線LANのノートパソコン合わせて30台がインターネット接続され、授業時間以外にも、コンピュータ・書籍・ビデオ・CD−ROMといった視聴覚教材が利用できる。

PCは、自ら学ぶためのツール
 見学会の後に開かれた6つの分科会の一つ、「高校での調べ学習の取り組み」で、国語科と地歴・公民科の実践が報告された。
 国語科では、「青春俳句」の創作にコンピュータが使われている。特に難しい規定を設けずに好きなことをテーマに自由な俳句を創作し、その句に絵などのビジュアル的な要素を付け加えることで、俳句の世界を広げていく。
 田付賢一教諭は、「国語科は教壇教育から抜け出せない面があり、・教際教育・に向けて他の教科と連携した調べ学習の実施を模索してきた。青春俳句の創作や文学者研究に、PCを活用することで、生徒たちの能力や感性を磨き、進学の力をつけることを目的に実践を行っている」と語る。
 地歴・公民科での調べ学習では、生徒一人ひとりがホームページを制作し、レポートをまとめている。
 「これまで歴史などは暗記するだけの教科と思っていて好きではなかったが、調べ学習を行うことで興味が持てた−という生徒の感想が多くなりました。インターネットを活用することでリアルタイムに情報を選別できることが、生徒の自主的な学習に役立っている」(地歴・公民科 山川賢司教諭)
 同校では、今後さらにMRC教室の増室など環境整備と、教科実践の充実を図っていく。また、今年度のプロジェクトとして、家庭とインターネットで双方向のコミュニケーションを取る「家庭に学校を」プロジェクトが、一部のコースで始動する予定だ。

 (教育家庭新聞2000年 7月1日号)


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