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2010年の教室モデル提案

予算増必要82% 財政難課題
ICT支援員の配置必要

  文部科学省は、「地域・学校の特色等を活かしたICT環境活用先進事例に関する調査研究」を社団法人日本教育工学振興会(JAPET)に委託。教室のICT環境の将来像を含む調査研究成果をまとめ、6月4日、公表した。同調査では学校や地域の特色等を活かしたICT環境の整備や活用の在り方等について検討するため、国内アンケート調査や国内外の先進事例調査等を実施。これらの調査結果を踏まえ、2010年及び2015年における教室のICT環境の将来像についても検討した。国内アンケート調査対象・学校9500校、教委500か所。先進事例調査対象・国内10校5教委。諸外国は韓国・英国・米国。同調査研究検討委員主査は山西潤一氏(富山大学人間発達科学部長)。

調査によると、ICT活用が進まない理由は「機器の台数不足(60・6%)」「準備に時間がかかりすぎること(82・2%)」が上げられている。関連して「ICT機器整備の予算の増額が必要」との回答は88・9%、「教育ソフト・コンテンツの予算増額が必要」との回答は82・2%と高い数値を占め、予算の増額の必要性を感じている状況が明らかとなった。調査対象となった教育委員会のほぼ100%が「財政難は大きな課題」としている。

  専任の情報教育担当者の配置の必要性を認識している教委は86・4%にものぼるが、実際に配置されているのは47・4%。同様に情報担当の外部専門家を必要としている教委は78・3%あるが、実際に学校のヘルプデスクとして外部専門家を配置しているのは25・7%に過ぎず、政策立案に参画している専門家はわずか6・7%だ。

  これら調査結果を踏まえ、JAPETでは2010年のICT環境モデルとして「全国のどの学校のどの教室においても教科指導等にICTを活用できる環境整備」「教科の特性に応じた特別教室の環境整備」「ICT支援員の配置」を目標とした。また、2015年のICT環境モデルとしては「デジタルカメラやモバイル端末を活用し、実体験と連携したICT活用の充実」「個別学習やグループ学習を含む多用な学習場面でのICT活用」「ICT支援員によるサポート体制の充実」などをあげた。

  これらの実現に向け、教員に負担のかからないICT環境の整備や教科書準拠コンテンツの充実、ICT支援員の配置、教育の情報化に関する教委及び学校の取り組みにおける外部評価導入の検討が必要としている。


【2007年7月7日号】


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