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【特 集】 地震の被害から子どもたちを守るには
「緊急地震速報」学校での有効活用を考える

特定非営利活動法人 リアルタイム地震情報利用協議会 六郷義典氏

受信機の設置で安全確保を確実に

 緊急地震速報の一般提供が10月1日より開始した。緊急地震速報は地震の発生直後に、震源に近い地震計が感知・分析し、地震の規模(マグニチュード)を直ちに推定、各地への到達時刻や震度を可能な限り素早く知らせることができる仕組みだ。これにより、「揺れてから避難」するのではなく「揺れる前に身構える」ことが可能になる。地震が起きた際の落下事故や転倒による怪我が多くの割合で避けることが可能になるシステムで、世界に先んじた、地震大国日本ならではの研究成果といえる。緊急地震速報を学校現場で有効かつ最大限効果的に活用するには、どうすべきなのか。特定非営利法人  リアルタイム地震情報利用協議会(会長 有馬朗人 以下REIC)研究部部長六郷義典氏に聞いた。

 REICでは、平成15年より文部科学省の予算で防災科学研究所から委託を受け緊急地震速報の有効活用について研究しており、学校現場での活用においては、仙台市・長町小学校及び三重県・尾鷲小学校で実証実験を進めてきた。

  「緊急地震速報とその受信装置等を設置することによって可能になることは、大きく分けて二つあります。ひとつは、人≠ヨの報知。すなわち速報を教職員や子どもらに知らせ、確実に一次避難すること。もうひとつはガスやエレベータなど機器の機能を止めること。どちらも安全確保のために欠かせない要素です。学校においては、職員室等に受信装置を置き、校内放送等と連動、速報を受けたら注意音や注意報を即校内放送を用いて自動的に流す、というシステムを推奨しています」

  緊急地震速報は10月1日現在、一般利用としてはNHK等の放送を通じて受け取ることができる。しかし学校現場では、常にテレビスイッチがオンされているわけではない。緊急地震速報を学校現場で有効かつ最大限効果的に活用する方法として、各学校等に受信装置等を設置、特定利用の情報を直接受け取り、学校放送システムなどと連動して活用することが考えられている。

  仙台市の長町小学校における実証実験では、小学校の職員室に設置した受信装置により、音声と画像が校内に伝達、音声は校内放送装置等により、各教室・廊下・体育館のスピーカに警報・文言を伝達する。画像は、職員室の受信装置の画像が視聴覚室のテレビ受像機に伝達される。

  学校向けに開発されたソフトウェアは@避難モードA訓練モードB教育モードの3機能を有し、訓練モードによって日常的な避難訓練での活用が可能になる。また教育モードにより静止画や動画を使って地震被害を疑似体験すると共に、地震について子どもらが学習できるよう工夫されている。

  さらに東北大学大学院の指導の元、各自治体を通じたシステムとして、宮城県学習情報ネットワークを活用し、学校に地震速報を配信する実験も行った。東北大学では県下の学校に受信ソフトを提供することを計画しており、各学校での活用が可能になり、各自治体を通した緊急地震速報システムの活用の可能性を追求する計画だ。

  緊急地震速報の受信機を各学校に設置するもうひとつのメリットとして、地震計をセットで導入することも考えられている。地震計を各自治体予算で各校に配備することができれば、地震観測網がより整備され、より精度が高い速報が可能になる。現在、私立学校においては独自に緊急地震速報の受信機の整備が進んでいるが、公立学校においても来年度以降の予算に組み込まれることが予想される。

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【2007年10月5日号】

 


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