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教育実践
ワープロソフトで情報整理

東亜学園高等学校 北原雅晴

 ワープロソフトを使った自由課題の作成は、ソフトウエアの多機能さにより、見た目が派手になりがちである。生徒はその派手さに目を奪われ、必要な情報を漏らしたり、誰に向けてのメッセージかが明確でないものを作ってしまうことがある。

 そこで、最初に一定の枠組みを生徒に提示し、その後段階を踏み、枠組みを取外して表現を学ぶ試みを情報Aで行った。

 ステップ1として、定型の社内文書形式のものを生徒に課した。発信日時を行頭の右に、受信者を次行の左に寄せ、その下の右側には発信者名の記入と細かく指導した。ここでの学習内容は、中央そろえ、倍角表示、表の作成などで、かなり硬めの社内文書作成が生徒の課題となる。
 また生徒が課題を手元で練習できるように、課題プリントを3パターンほど用意し、人数分印刷しておく。そのプリントを受け取った生徒は、課題を作成し、完成したら教員のチェックを受け、次のステップに進む。

 ステップ2は、スキー旅行の案内文書の作成である。先ほどとの違いは、基本的な形式は維持するものの、アンケート結果を表計算で処理したグラフ、スキーを楽しむ画像の挿入などの項目を加えることである。絵柄の挿入のため、文書形式の硬さが前段階よりもやや緩和される。このステップでも生徒は教員のチェックを受けた後、次のステップに進むこととなる。

 ステップ3は、温泉旅行の案内文書で、次の条件の範囲で自由に作成する。1)自社内の社員宛、2)作成者である自分の立場は企画課長、3)日程と予算額は既定、4)申込書を兼ねた文書とし、5)参加したくなるデザインとする。

 これらの一連の授業に、5〜6コマ程度の時間をかけた。生徒の課題達成率は、ステップ1で10割、ステップ2は7割、ステップ3は1割5分と到達度が異なる結果となった。ステップ3まで完成した生徒の作品は、印刷して廊下に掲示、その出来栄えを相互に鑑賞し評価した。

 自由作品の製作には、まず基本を押さえることが大切である。今回はその基本スタイルに社内文書形式を活用した。生徒の到達度のばらつき具合は彼ら個々人の進捗状況の差であり、ある程度予想される結果でもあった。(次回は秋留台高等学校・今井大介先生です)

【2008年5月3日号】

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