大阪府堺市では、イントラネット「堺市教育情報ネットワーク」を構築、小学校94校、中学校43校、高等学校4校、養護学校1校、適応指導教室、教育委員会や教育センターなどが教育委員会専用のダークファイバで結ばれ、全校園に職員室内LANを敷設、校園長用コンピュータ及び教頭用コンピュータ、校務用端末が配備されている。現在、積極的に取り組んでいるのが学校教育のIT化を積極的に推進する学校への支援だ。指導主事の浦氏に、堺市における情報化のポイントを聞いた。
積極的な学校を支援
堺市では平成17年度より学校教育IT化推進校として13校(小学校9、中学校4)を指定した。
指定校の決定方法は、堺市独自のもの。市から目的を3つ提示し、それを達成するために具体的にどのような取組がITを活用してできるのかを各学校長のプレゼンテーションにより、決定した。3つの目的とは「外部人材の活用による授業改善」「確かな学力の向上」「校務の効率化」。浦氏は「積極的にIT化に取り組む学校で、IT化の有効利用を、実践を通して検証する必要がある」と述べる。
IT化推進校13校には、校内LANを敷設するとともに学習用端末としてノートPC21台を配置、液晶プロジェクターとスクリーン、無線アクセスポイント各1台づつを基本セットとして各校に配備。さらに各学校の活用目的にあわせ、機器を追加配置している。
電子黒板「アクティブボード」「使ってみたい」教員の反応が格別
これらに加え今年度は、推進校のうち小学校9校、中学校1校に電子黒板「アクティブボード」78インチ型を導入。
「これは導入して正解だった。先生方の反応がすごく良い」と浦氏。
「教室で使用する際の基本的な操作は液晶プロジェクターとスクリーンを組み合わせた場合とほぼ同様であるにも関わらず、アクティブボードだと、スタートダッシュの反応がまず違う。先生方の『使ってみたい』気持ちを強く感じる。その後の経過を聞くと、使用開始時期が極めて早い。パワーポイントでの活用に加え、専用の添付ソフトで書き込みができるので、先生方にとっても子どもたちにとっても『黒板が電子化されただけ』というイメージで使いやすいようだ。表面が硬く、教室に常設しても壊れにくい頑丈さも安心材料。価格帯も適正」と述べる。
「アクティブボード」はプロジェクタ投映方式の電子黒板で、日本では導入が開始されてからまだ2年ほどだが、現在世界70か国以上に提供され、100万人を超える子どもたちに利用されている。マウス機能つきのペンは電池不要でペン追随スピードに優れており、板書と同じ感覚で使える点が特長だ。授業で使える素材集(画像・写真イラスト・グラフ・五線譜・美術素材など)は9000コンテンツ強を収録。現在堺市ではIT化推進校に10台導入しているが、今後検証を重ね、引き続き導入を検討している。
学校HP更新日に80校
堺市では、ホームページによる各学校園の情報発信が盛んだ。全校で学校ホームページをアップしており、その更新頻度は1日約80校にのぼり、ほぼ10分ごとの更新状況が堺市ホームページより確認できる。内容も充実している。このような活発な情報発信も2年前より導入したブログ形式のホームページ作成システムによるところが大きい。また、堺市では外部人材の活用による授業改善を目的に、テレビ会議も各校で頻繁に実施されている。身近な人材から著名な専門家まで幅広い外部人材による、テレビ会議システムを用いた授業を展開。活動の様子は堺市教育センターや各校のホームページで報告されている。
「学校から地域や保護者に、活動内容をどんどんアピールしていくのが本来あるべき姿。研究推進校としてノルマを課し形骸化した研究発表をこなすだけでは意味がない」と、学校独自の活動に高い期待を寄せている。
行政職と指導主事で情報教育グループを構成
堺市教育センターに情報教育を所管するセクションが出来て4年目。今年度より情報教育グループの体制変更があり、昨年までの学校現場出身の指導主事4名体制から、今年から行政職2名、指導主事2名の計4人体制となったという。
「ICT活用を進めるためのポイントの一つは教育委員会の情報教育担当者。情報教育にかかわる施策を立案し、その実現のための予算を確保するために庁内調整を行うのが担当者の仕事だが、自治体規模が大きい場合、必要な予算も大きくなり、その予算調整や庁内調整を適切に行うことが求められる。平成17年度より進めてきた教育IT化推進事業を、今後更に進展させたい」と浦氏は述べる。
【堺市教育センター】
http://www3.sakai.ed.jp/kyoikusenta/