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情報モラル宣言 最終回
一人一人が「情報モラル宣言」を
ACCS 久保田裕

  この連載も今回が最終回である。第1回で書いた「情報モラル宣言」について私なりの考え方を説明する。まず、情報モラルの定義を「情報社会で適切な活動を行うための基礎となる知識と行動の総称」としている。ここで言う「適切な活動」は3つに大別できる。

情報社会のリスク軽減

 一つは「安全性」である。教育現場で実践している情報安全教育は、これにあたる。
具体的に言えば、情報社会で安全に活動するためには、「知識」と「行動」が必要だ。情報社会の法律ルールを知り、それを遵守すること。さらに、情報セキュリティの知識を持ち、これを実践すること。それらによって、情報社会で安全に活動できるようになる。
情報社会における安全性は、情報モラルの基本である。前回紹介した品川区の「市民科」では、中学1年生ぐらいまで、この安全教育に重点が置かれている。情報社会のリスクを知り、危険回避行動が取れるようにすることが基本なのだ。

情報の適切な収集と発信

 「情報社会における適切な活動」を支える2つ目は「情報収集」である。特にネットは、掲示板はもちろん事典サイトでも間違いが目に付く。
こうした情報に接するに際し、情報リテラシーを養い真偽を判断する知識は不可欠だ。その上で、メディアの特性を踏まえて情報を収集し適切に分析する力が求められる。
3つ目は、「適切な情報発信」である。ブログなどで誰もが情報発信できる時代にあって、著作権をはじめルールの知識は不可欠だ。プライバシーや個人情報に関する知識も持ち情報発信することが求められている。
こうした「情報社会の安全性」と「情報収集」「情報発信」に関する知識と行動の上に、私が再三重要性を書いてきた豊かなコミュニケーションがあると思う。

情報モラル宣言

 ACCSでは、このような分析を元に「情報モラル宣言」の例を作っているので紹介しよう。5項目に分けている。
【情報社会のルール】
デジタルデータの使用には細心の注意を払い、法律、規則その他の制度を遵守する。
【情報社会のリスク】
情報社会には、日進月歩のリスクがあり、情報収集に努め早急な対策を講じる。
【適切な情報収集】
必要とされる情報を適切な媒体から適法に収集し、情報の真偽は客観的な判断をもって行う。
【適切な情報発信】
正確な情報を適切な媒体で適法に発信し、発信情報は回収不能であることを深く認識する。
【コミュニケーション】
情報社会特有なものと一般社会のマナー、エチケットを考慮してコミュニケーションを行う。
また、情報発信の中心には人間にしかできない「創作」こそが、最も重要でありその創作の原点は体験に根ざすことを忘れてはならない。
以上これは例であって何項目になっても構わない。考えることが重要だ。ぜひ皆さんも「宣言文」を作ってみて欲しい。


【2008年2月2日号】


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