国語・総合連携で“思いやり”ながら“練り合う”活動―横浜市立高田小学校

 12月1日、横浜市立高田小学校(松井佳奈子校長)で研究発表会が行われた。研究テーマは「自らの考えを表現し、認め合い、高め合う子〜ICTで『つなぐ』国語科授業の創造〜」。13の授業が公開された。同校は横浜市教育委員会パイオニアスクールよこはま※1の研究指定校。

復興支援アイデアを被災学校に提案する

 「気仙沼はしん災前はとてもきれいでじまんできるまちでした。でも、しん災がおきても、とてもじまんできるまちです」、「高田小学校のみなさん。お元気ですか。僕はしん災で被災して去年の6月から仮設住宅に住んでいます。先月やっとおふろの追いだき機能がついたばかりでまだ復興が終わったとはいえません。でも全国の人たちからの支援で復興しつつあります。復興し終わったらぜひ気仙沼に来て下さい」

  被災地と全国の子どもたちを文通でつなぐ「ポケモンペンフレスクール※2」の交流校である気仙沼市立九条小学校の児童からの手紙だ。

ICTで『つなぐ』国語科授業の創造

予想される反対意見を書き込んでいく

  公開授業「被災地の復興から築く平和のとりで」6年2組(今村俊輔教諭)は、国語「平和のとりでを築く」の単元における自主教材を使った学習で、「総合的な学習の時間」の調べ学習とも連携しており、教室には、九条小の友だちの手紙、「被災地の現状」、「復興予算の合計・配分状況」「進まぬがれき処理への国の対応」など、これまでの学習で児童が作成した沢山の掲示物であふれている。

  児童は前時までに九条小学校の友だちと自分たちが一緒に復興に向け歩んで行ける「復興支援の具体案」を個別で考えており、同じ考えを持つ人どうしのグループに分かれ、プレゼン資料をまとめてある。

  この日はその内容を九条小学校の友だちにプレゼンテ‐ションした際に予想される反対意見とそれに対する自分たちの考え・意見をグループで話し合った。

  各グループにはノートPC1台、大判のホワイトボードが用意されており、ノートPCではプレゼン資料を提示して話し合いを進め、予想される反対意見を黒字で、それに対する考え・意見を赤字でホワイトボードにまとめていった。

  気仙沼の特産品のサメを使った復興旗イラストを作成するグループは、「復興旗を作っても元気が出ないのでは?」という意見に対し、「フカヒレは特産品で、九条小の地域の自慢第1位だった」、「給食にも出ている」、「水産業が有名で大漁旗のようで元気が出るはず」、「身近に漁師や、水産業の人が沢山いる」など、これまでの学習やSkypeを使った九条小学校とのやり取りを思い出し、話し合った。被災地の人に元気になってもらいたい、復興の役に立ちたいとの素直な気持ちから児童の話し合う姿は真剣だ。

  今後は話し合った意見をもとに、資料や原稿を改善、クラス内発表を行う。その後、九条小学校の児童に向けたプレゼンテーションを行う予定だ。

  児童の活動はデジタルとアナログを使い分け、単元の目標でもある、資料や具体例を使い意図を明確に伝えるための話の構成の工夫に結びつけられていた。

※1 横浜市の取り組み。各学校からの提案に基づき、従来の制度や運用の枠組みにとらわれない新たな取り組みに挑戦する提案公募型改革モデル校事業。
※2(株)ポケモンが被災地支援活動「POKEMON with YOU」の一環で行っている、被災地に住む子どもたちの心のケアと被災地外に住む子ども達が震災について考える機会をつくることを目的とした文通企画。

【2013年1月1日】

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