学習者用PCと協働学習で学力向上活用力′ー著に伸び―日野市立平山小学校

 日野市立平山小学校は総務省・絆プロジェクトを始めとする各種プロジェクト参加や企業協力ほかにより、1人1台の学習者用PC環境を徐々に実現してきた。導入端末は、Windows版、Android版、スレート型、コンバーチブル型様々だ。同校では長年協働的な学習に取り組んでおり、それを素地として各端末の特長を活かしつつ協働的な学びを実現した13授業が2月8日、研究発表会「未来の教室と新たな学びの創造」で公開された。協働的な学びを継続して行ってきた結果、学力テスト等でも成果が検証されているという。

学習者用PC
学習者用PC

学習者用PC

タブレット等を活用した協働学習の
積み重ねで「活用力」が向上

学習者用PC
学習者用PC

セパレート型タブレットPCで動画撮影

 平成24年度全国学力・学習状況調査によると、同校児童の成績は、算数や理科のB問題(活用に関する問題)において好成績を収めた。特に算数・活用問題Bにおいては、「事実・方法・理由を記述する問題」に優れているという特長があり、学習者用端末の導入による様々な研究によって児童に「活用力」がついてきているのではないかと研究主任は解説した。

  また、平成24年度に実施されたCRT(目標基準準拠テスト)4月と12月の結果を比較すると、4〜6学年国語では「知識・理解・技能」、「読む」、「書く」の項目が10以上向上した。特に伸びが大きかったのは5年国語「読む」の35点だ。また、4〜6学年算数の「数学的な考え方」、「表現・処理」、「知識・理解」の項目もそれぞれ10以上伸びた。領域別では「数と計算」、「量と測定」、「図形」、「数量関係」のいずれの項目も向上した。

  五十嵐俊子校長は「これからの教育は、答えのない問題にみんなで知恵を出し合い多様な考え方から新たな知を創造していく力を育てなければなりません。『未来の教室』は、新たな知を創造していく環境です。私たち教師も、日々、目の前の子どもたちに向き合いながら、10年、20年先の未来を視野に入れ新たな学びを展開できる力を付けていきたい」と話した。


公開授業


 2時間にわたり公開された13授業の内、6授業を取材した。

 わかくさ学級、算数「いくら?(お金の学習)」の授業では、1人1台のタブレットPCや個別学習支援システムが活用され1人ひとりが自分のペースで、硬貨の弁別などの問題を解き進めた。「やること」や「やくそく」が板書され、5円、10円、100円などの硬貨のカードが掲示されていた。

 1年1組、算数「かたちあそび」の授業では1人1台のスレート型PC、電子黒板、実物投影機、自作教材が活用された。先生はスレート型PCの画面を実物投影機で電子黒板上に映し、説明を行ない、児童は4種類の直角二等辺三角形を画面上に並べ、平面図形の理解を深めた。授業の初めに必ず隣同士でできたことを確かめて次に進むように指示したため、教えあう姿が見られた。

 2年3組、体育「お話マット」は、3人毎のグループに分かれ、お話にあわせて技に取り組む「お話マット」の授業。セパレート型タブレットPCとWindows8ビデオアプリを活用して1人ひとりの演技を動画撮影した。

  準備体操と授業の説明の後、先生が「首からPCのストラップを掛けてカメラを立ち上げてください」と声を掛けるとグループの代表が慣れた様子で準備を行った。

  「くまさんが山から落ちてコロコロりん。はい、ポーズ」とお話を話すとリズムに合わせて1人の児童が演技を行った。撮影担当の児童はセパレート型タブレットPCの両サイドを持ち、動きに合わせ撮影を行った。

  演技が終わると、その場で視聴し、「ここまでは良かったのに最後で台無しになっちゃったよ」、「最後まで足は上げてた方がいいね」など、友達のアドバイスを自分の演技を見ながら聞くことで改善、工夫のイメージを湧かせていた。

 6年2組、国語「詩を書こう」の授業では、クラスの1人ひとりが連詩を読み感じたことを全員で共有するために、1人1台のタブレット型学習端末のソーシャルリーディング機能(文章にマークしてコメントをつけたり、友達のコメントを確認することで「読書体験の共有」ができる機能)を活用し、新しい表現の発見や気付きが生まれ、発想を広げていた。

 5年2組、国語「大造じいさんとがん」の授業では、学習者用デジタル教科書にあるプロの朗読を聴くことにより、文字で読んだだけでは浮かばなかった心情ついて、意見交換を行った。

 6年3組、算数「隠れた算数を見つけよう」の授業では、初めにタブレット学習システムを使い四角柱のジュースパックと計量カップの画像を電子黒板から、児童1人1台のセパレート型タブレットPCに送信し、「図形」や「面積」、「単位」など写真の中に隠れた算数で学んだ概念を記入した。

  先生は児童が考えを記入した画像を電子黒板上で一覧表示し、同じ視点で説明している画像毎に色分を行ない、児童に発表をさせ、様々な数学的視点があることを気付かせた。

  その後、キーボードを切り離したセパレート型タブレットPC(タブレットモード)を持ち、校舎内を周り算数の隠れている物を見つけ写真に収めた。教室にもどると、キーボードに接続し、必要な説明を書き足した。

【2013年3月4日】

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