第11回教育委員会対象セミナー東京 タブレット端末・電子黒板・校務の情報化

導入コスト削減で 整備予算を確保
―多摩市教育委員会 教育振興課ICT係長 有田慶一氏

全小中学校にタブレット端末 OS選定もプロポーザルで

多摩市教育委員会 教育振興課ICT係長 有田慶一氏 多摩市では今年度から各学校でのタブレット端末導入に向けた環境整備に着手している。

  校務支援システムについては平成22年度に導入済で、通知表、指導要録も電子化。全教員に校務用PCを配備し、校内LANも整備。将来を見据えた予備配線も敷設した。

  教育系では、デジタルTV(各校6台程度)と電子黒板ユニットを導入。図書室等での調べ学習用PCも小学校に各4台、中学校に各5台ずつ配している。しかし普通教室でのPC活用はできず、PC室の利用率も上がっていないことから、今年度はタブレット端末の導入に踏み切った。

  「第5次多摩市総合計画における目標のひとつである持続発展教育(ESD)推進のためにも、ICTを活用した教育は市としても重要なテーマ。『教師のICT活用指導力の向上』はその成果指標の1つ」と話す。

  タブレット端末は小学校2校・中学校1校をモデル校として検証後、段階的に全小中学校に展開していく考えで、1校あたり42台を導入。これにより、1クラス6台+教師用1台のセットを6クラスで同時利用可能にする予定だ。

  タブレット端末導入のための予算は、コスト削減により確保。校務支援システム導入時に予備配線も済ませたため、大掛かりな配線工事は不要。データセンターまでの専用回線を校務支援システム、教育系システム、市の内部情報システムとで共用して専用回線費用を年間1千万円を削減。PC教室の保守をスポット対応に切り替え、年間100万円単位の保守費用を削減。各学校で行っていたプロバイダー契約を一本化することで年間約300万円削減と様々な工夫を凝らした。なお将来的には、共同利用も見据えたセンターサーバー方式も検討している。

  次の課題はタブレット端末のOS選択だ。「多摩市教育用PC更新検討審査委員会」では、OSについて「小学校や特別支援学校ではiOSが使いやすい。しかし保守期限が最大3年と短い」、「中学校技術科の授業では外部講師を依頼していることもありWindowsが望ましい」などと意見が分かれたことから、プロポーザル提案で(1)Windows(以下W)のみ(2)iOS(以下i)のみ(3)小学校W、中学校i(4)小学校i、中学校Wのいずれかの提案を指定し、実際にタブレット端末を使用した授業(中学校理科、技術、校外学習、小学校社会科、生活科、特別支援)の実演も依頼。選定結果は8月中旬に決定する予定。モデル校での本稼動は11月を予定しており、通常授業のほか体育館や修学旅行、移動教室などでの活用を想定している。

【2013年8月5日】

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