eスクールステップアップ・キャンプ<東日本大会>新潟市立小針小学校

授業分析で成果を検証
子どもも教師も笑顔が増えた

  東日本大会では、「グループ1台の情報端末を活用した理科授業」の授業映像から、授業者、解説者によってICT活用の成果と課題を検証した。授業者は新潟市立小針小学校・小庄司一泰教諭。解説者は十文字学園女子大学名誉教授・井口磯夫氏。

eスクールステップアップ・キャンプ
ビデオで前時の学習を振り返る
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理科の授業映像を見て活用成果を検証した

  授業は昨年12月17日に行われた6年理科「水溶液の性質の実験」。同校では1人1台の情報端末活用を視野に入れつつグループ1台で活用を進めている。

  小庄司教諭はこの単元について「観察・実験が多くあり、PCや視聴覚機器を活用できる場面が多い。どんな使い方があるのか、方法は適切か。問題解決の主役は児童であることを踏まえた生徒理解、教材理解が教師に求められている。このバランスをとる役割をICTが果たすと考えた」と説明した。

  「導入」では、前時の実験の様子を電子黒板に提示して振り返った。実験では、塩酸に鉄を加えて蒸発させた。そこで残った「塩化鉄」をタブレット端末で撮影してIWBに提示。これが鉄か否かについて疑問を持たせ、予想をさせる。「鉄」は30人、「鉄ではない」は3人だ。授業者の小庄司教諭は、導入でのICT活用について「子どもの意識をつなぐ」「子どもと教師が一体化する」「新鮮な驚きや出会いを与え興味関心を与える」ことに配慮して、対象物を拡大したり、仮想体験を提供して異なった視点で考える素地を刺激したとコメントした。

  「展開」では各グループで、実験を行う係、端末を使う撮影係、文字情報を残す記録係に分かれて実験を行った。板書でグループごとの結果をまとめ、考察。その内容を書画カメラで提示しながら発表を行う。グループごとに実験撮影の様子にも工夫がみられる。

  授業者は、「端末を使うことでグループごとの意見や考えを共有しやすかった。実験の振り返りやまとめもしやすい。グループごとの発表内容をディスプレイに提示することで、発表に対する意欲や関心の高まりがみられた。普段発言しない児童でも役割を持つようになり、学習のユニバーサル化につながっている。児童のノートを見ると、既習事項とつながりをもってまとめるなど表現力の向上や科学的思考力の高まりも見られた」と、ICTを活用したグループ学習の効果を振り返った。

  井口教授は、「タブレットは既に児童の道具になっており、教師の指示を待たずに積極的に使われている。どのように表現したいかについてグループで同意が形成されており素晴らしい」と述べた。授業者は「児童が指導を受けるスタイルから主体的に学習を進めていく態度に変容し、子どもも教師も笑顔が増えた。必要なときに使える状態が早く整備されてほしい」。活用のポイントについては「ここで使うと面白いかもしれない、発表や話し合い活動が盛り上がるかもしれない、と感じたら実践する。効果のあった実践は、教務室で共有する」と報告した。

東日本大会パネル報告より
子ども議会で視聴にプレゼン―つくば市

 東日本大会のパネルディスカッションは、「ICT活用の定着を目指して〜それぞれの課題への対応や研修体制の整備」がテーマ。

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児童の発表資料にはグループごとに工夫がみられた

  茨城県つくば市教育委員会・吉田浩指導主事の報告によると、つくば市ではタブレット導入が始まっており、市内すべての小中学校で積極的な活用が進んでいる。中でも興味深いのが、今年で11年目を迎えるつくば市プレゼンテーションコンテストから派生した「つくば市子ども議会」の取り組みだ。

  子ども議会では、子どもたちが電子黒板を使ってプレゼンテーションを行うが、その中で、「1人1台の台数」など数値を出しながら「タブレット端末の学校への追加導入の必要性」を議会で提案したという。子ども議会には市長も参加している。子ども自身のプレゼンによる説得力はさぞ絶大であったことだろう。同市では、来年度はタブレット端末を使った子ども議会を計画中だ。

  なお、昨年度まで委託であった学校ICT指導員は、今年度からつくば市の職員として採用。研修や授業活用のフォローを強化する。

  研修は授業での活用に重点を置いており、ICT研修としてではなく教材研究の中で行っている。中でも模擬授業は効果的であると報告。今後はつくば市でも1人1台の端末整備を進めていきたいと報告した。

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【2014年3月3日】

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