第40回全日本教育工学研究協議会全国大会

子供が主役になる次世代の学びとは

第40回全日本教育工学研究協議会全国大会‐京都大会が10月24・25日に開催され、多数の教育関係者が参集した。テーマは「子供が主役になる次世代の学びとは」。当日は8小中高等学校・特別支援学校の授業が公開され、講演やパネルディスカッション、実践発表が行われた。京都は、第1回全日本教育工学研究協議会全国大会が開催された地でもある。なお次年度の本全国大会は10月9・10日に富山市で開催される。

開会式でJAET会長の堀田龍也教授(東北大学)は、「ICTの授業活用が広がるにつれ、ICT活用そのものより、授業の中身や質の向上に議論の中心が移行しており、学校経営レベルでICT活用を考えるフェイズになった」と挨拶した。

開催地である京都府教育庁の川村智・指導部理事は「グローバル化が進み、知識基盤社会となり、異文明との共存や国際協力の必要性が一層求められている。第2期教育振興基本計画実現に向けて、主体的な学びや課題探求型など学び方そのものの変革が一層重要になり、ICT活用の改善や工夫が求められている。京都府では、特別支援学校全校へのタブレット端末導入に向けて準備をしている」と述べた。

京都市・生田義久教育長は「京都市では昭和46年からコンピュータ教育に着手しており、平成12年には全校にインターネット接続を可能にするなど早期からICT活用に取り組んでいる。今年度から、校務支援システムの稼動を全校で開始した。本大会を、心と心をつなぐ情報教育のために、ベストプラクティスを共有して論議を深める契機としたい」と語った。

基調講演

考える授業を 強力に進める― 永野和男教授

永野和男教授(JAET常任理事・聖心女子大学)は基調講演「次世代の学びのために」で、「PCはこの25年間で約1万倍の能力になり、かつて専門教育だったPC教育はいまや一般教育になった。今後も性能は向上していくが、ニーズがあって技術が追いついたときに実用化される傾向にあり、これまでの40年間に比べ、今後の40年間は予想・想像できる範囲にある」と述べ、今後起こり得ることについて「ロボットの性能が進化し、やり方がわかっているものは全てロボットが担当する」「遠隔による立体認識が可能になる」と予測。「これらのニーズが現実になったとき、ヒトに求められる能力は、常に新しい情報を入手して活用し、世界の変化に対応できる情報活用能力。何かが起こったときに学校の責任を問うのではなく、健全な社会で起こるべき例を想像して対策を進め、社会全体で子どもを守れる仕組みを整える必要がある」、そのためには「教え込むのではなく、考えさせる授業の構築を強力に進めていかなければならない」と述べた。

【2014年11月3日】

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