教育 クラウド BYOD ビッグデータ活用を提案

3年間で実践モデルを構築

ICTドリームスクール懇談会 中間とりまとめ

総務省は「ICTドリームスクール懇談会 中間とりまとめ」を4月6日、公表した。本とりまとめは、懇談会における議論と、平成26年11月から平成27年1月にかけて行われた「学習・教育クラウド・プラットフォームのアイデア募集」の結果等を踏まえて、現状の取組や海外の動向を整理しつつ今後実現すべき学習・教育環境の姿を「ICTドリームスクール」として整理、実現のための取組を提言したもの。本提言は、総務省「先導的教育システム実証事業(ICTドリームスクールイノベーション実証研究)」(平成26〜28年度)とも連携して段階的に推進して実践モデルを確立、平成32年以降は民間主体の取組を継続して「ICTドリームスクール」全国展開を目指す。

平成26年から始まった「ICTドリームスクール懇談会」(座長=金子郁容・慶応義塾大学教授)は本提言で、情報通信技術(ICT)を活用した教育の実現を「21世紀を生き抜く力の養成に向けた鍵の一つ」と位置づけ。ICT活用が果たす役割を以下の3つに整理した。▽21世紀の社会を担う人材育成への貢献 ▽全ての子供たちへの教育の機会の保障 ▽地方創生と経済活性化への貢献

ICTドリームスクールの理念「個に応じた最適な学びをいつでも・どこでも・安全安心に提供」実現に向けて以下3つの取組を推進する。

▽学習・教育クラウド・プラットフォームの整備・全国展開〜先導的教育システム実証事業において多様な学習・教育モデルを支え低コストで利用可能なオープンソースのプラットフォームを構築・標準化。BYOD(=Bring Your Own Device)の採用も可能とする。

▽ICTを活用した多様な学習・教育実践モデルの展開〜学習記録データや校務データを活用する「学校・家庭・地域の連携」型、遠隔地をつなぐ「地域活性化・まちおこし」型、プログラミング教育や教育用SNS、4Kなどを活用する「最先端学習のスタイル」型それぞれの教育モデルを構築する。

▽学習記録データ分析ビジネスや教育ICTビジネス海外展開など。

平成27年2月2日に設立発表会が行われた「ICT CONNECT21(みらいの学び共創会議)」ほか教育情報化に携わる団体や企業、さらに自治体・学校・研究機関等とも連携していく考えだ。

個人情報保護法改正へ

中間とりまとめでは、国の取組も整理。

ビッグデータ活用において障壁となる個人情報保護法については、「個人情報保護法改正原案」が3月に閣議決定されており現在国会審議中だ。改正案では、本人の同意なしにデータの利活用ができる「個人の特定性を低減したデータ」への加工と、本人の同意の代わりとしての取扱いに関する規律を設定する。また、業界特性に応じた独自の運用ルール等が策定された場合には第三者機関(個人情報保護委員会を設置)がその認定等に関与する。

海外で進むBYOD

海外の状況も報告。

学校内外双方におけるPC活用はOECD諸国内で日本はいずれも最下位(2012OECD調査)であり、「我が国の整備状況は大きく遅れをとっている」と述べている。

EUでは、小学4年段階で約3割、中学2年段階で約5割の児童生徒がBYODを認められている(2011年調査)。

欧州の中で最もBYODが一般化しているのがデンマークだ。

児童生徒の情報端末は原則BYODで1人1台を用意し、私有端末の用意が困難な家庭には学校が端末提供を保証するという方針(2011〜2015年の電子政府戦略)が示された。本方針は自治体・学校にも受入れられている。

オーストラリア・ビクトリア州は、既にほぼ1人1台環境を実現している。

開発途上国でも情報端末等ICT環境整備が浸透しつつある。

【2015年5月4日】

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