教育委員会対象セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

教育委員会や学校の整備担当者を対象にした教育委員会対象セミナーが7月7日、東京都内で開催された。主催は教育家庭新聞社。今回で第24回、今年度一回目となる本セミナーは、総合教育会議の影響か、首都圏を中心に全国の教育委員会からこれまで以上に多彩な部署の参加があった。8月は京都、10月は大阪で開催する。詳細日程は教育家庭新聞Webへ。
詳細=www.kknews.co.jp/semireport

市内全小中学校にタブレットPC配備 大和市教育研究所 深谷美紀所長

大和市教育研究所 深谷 美紀所長
大和市教育研究所
深谷美紀所長

ICT支援員は3種の業務を委託

大和市教育研究所の深谷美紀所長は、市内全小中学校へのタブレットPC整備と導入後に生じた課題、利活用に向けての取組を報告した。

小中学校28校(小学校19校・中学校9校)・児童生徒数約1万7000人・県内2位の人口密度である大和市。平成25‐26年度には、DISとの実証研究によりタブレットPC40台を小学校1校に配備。学習意欲の向上や考える活動の展開、学び合いの広がりなどの成果が得られた。

そこで平成26年度から全小中学校の普通教室用にタブレットPC・端末を配備。今年度6月現在、小学校19校、中学校9校、国際教室(設置校20校)、院内学級、ことばの教室(設置校3校)などに計1360台のタブレットPCを配備している。60か月リースで総計約5億円だ。

学校数が多いため、配備には工夫が必要だ。大和市では通常規模の学校は1校につき41台、大規模小学校には各82台、ことばの教室の設置校3校に追加で各2台、国際教室の設置校20校に各3台追加。

小学校ではPC室に配備し、通常は机上の充電用接続台(クレードル)に10・1インチのタブレット部分を設置し、キーボードとマウスも配備。PC教室外で活用する際にはタブレットのみ取り外して使う整備とした。

中学校と小学校大規模校の2セット目は、タブレット部分のみ整備。充電保管庫に収納して肩掛け用ストラップで持ち運べるようにした。導入したソフトは、教育用統合ソフト、協働学習支援ソフト、ドリル教材など。

特別支援学級用には様々な障害に対応できる機能やコミュニケーション支援用アプリが充実していると判断して、iPadAir(9・7型・Wi‐Fiモデル・樹脂カバー付)を4人に1台の割合で計146台整備。整備対象は平成25年度パイロット校3校に続き、平成26年度には全小中学校の特別支援学級。

普通教室用は、一斉学習や個別学習、協働学習などで活用が進んでいる。特にカメラ機能を使っての記録や振り返り、電子黒板と連動させての活用が進みつつある。

特別支援教育での活用は多岐にわたっており、弱視児童にはタブレット端末を固定して拡大機能やカメラ、色の反転、読み上げ機能などにより阻害要因を排除している。また、多様なアプリなどで、集中力、思考力、意欲、認知力、学習意欲などの向上や自立活動、コミュニケーション活動の支援に役立っている。

大和市では「タブレットPC・端末の活用を進めるにはICT支援員が必須」と考え、「授業支援」「校務支援」「機器調整」など3種類の支援を、昨年度より業者に委託。教育研究所にはリーダーが1名常駐する。

各学校からのニーズは高く、教材作成補助を含めた授業支援や機器・ネットワーク障害の対応、Web更新などの要請が多い。

故障の対応が課題

導入に際して、タブレット故障時にも同じ学習環境を継続できるように代替機の補充を仕様書に明記。落下等による破損防止のために肩掛けストラップや樹脂製カバーも要望。故障時の修理費用は、リース業者の保険を利用した。

しかし全額補償は難しく、年数経過に伴い保険金が減額するため、教育委員会の負担は大きく、今後の課題だ。

無線LAN環境の検証については、その実効性を高めるには授業中の環境での検証が必要であると話す。特別支援学級のアクセスポイントは固定の方が使いやすいと考え、離れた場所に複数教室がある学校には追加で整備。オフィスソフトの導入は学校からの要望が高く、追加導入を検討中だ。MDMの導入やAppleTVの整備も同様に検討。iPad端末については16GBを選択したが、既に容量が不足しつつあり、64または128が望ましいと語る。

今後は、活用推進を目的に、調査研究部会での授業研究、希望参加の研修講座、ICT支援員によるミニ研修や学校要望による訪問研修など研修を充実。家庭学習機能のソフト活用も推進する考えだ。(講師=大和市教育研究所・深谷美紀所長)

【第24回教育委員会対象セミナー・東京:2015年7月7日】

【2015年8月3日】

 

最初へ最後へ

関連記事

↑pagetop