特集:学校経営と学校マネジメント MDMでリスク管理<古河市育委員会>

古河市では全国の自治体の中でもいち早くLTE対応(WiFi+Cellularモデル)のiPadを導入し、市内の全小学校23校(一部中学校含む)に対して計1421台のiPadを配備して活用を進めている。LTE対応モデルを導入した理由とそれに伴うリスク管理について、市教育委員会教育部参事兼指導課長平井聡一郎氏に聞いた。聞き手は企業や教育現場でのMDM導入に詳しいインヴェンティットの山田智裕氏。

セルラー型を全市で導入

古河市教育委員会 平井聡一郎氏
古河市教育委員会
教育部 平井聡一郎
参事兼指導課長

場所を選ばず広がる
 タブレット活用

平井 LTE対応モデルの導入を進めたことで、校内だけではなく、校庭や校外での学習など、場所を選ばないタブレットの活用が進んでいます。トラブルなく運用できるインフラを学校ごとに考えて整備するよりも、LTE対応モデルを導入した方が、古河市の規模で導入した場合は低コストであるという試算も出ています。

現場の教職員の負担面でもネットワークなどのトラブル対応や保守の負担を軽減できます。これらの理由から、LTE対応モデルの整備に踏み切りました。

山田 現在はLTE対応モデルで手間も費用も少ない環境を実現したということですね。

タブレット端末を大規模導入・活用する場合、企業では私的利用や情報漏えい、紛失対策が必須です。一方、児童生徒にはタブレットをできるだけ自由に使わせたいという思いから、MDMの導入は不要と考える先生もいます。

平井 古河市でも教員の目の届く範囲で比較的自由な使い方を認めていますが、教育委員会としてはリスク管理も重要なミッションです。そこでMDMには「MobiConnect for Education」を、Webフィルタリングには「i‐FILTERブラウザオプション」を導入しました。

山田 セキュリティ対策以外にも、MDMにはアプリやWi‐Fi設定などを遠隔で配信する機能があり、教育現場でのタブレット活用には、こうした機能が大きな役割を担うと考えています。

設定変更を一括で

平井 各端末へのインストールは大変な手間ですが、MDMを使うことで様々な設定・変更が柔軟にできます。新しいアプリを使っての取組を進める時も、アプリを遠隔操作で各端末に配信できることは、スムーズな運用において非常に重要なポイントです。

山田 古河市ではMDMによる管理や運用をどのように行っていますか。

平井 現在は、全体的な管理を教育委員会が行い、学校・教員にはタブレット端末紛失時の対応と、アプリ配信の権限を与えています。活用が進めば、学校権限を増やしていく予定です。

山田 古河市では教育委員会としての制度設計が明確で、MDMのメリットを活かした活用ができていることに驚きます。企業の例を見ても、利用者の規模、レベルなどに応じて、MDMの利用法は変わるべきであると思います。当社も各教育委員会と相談しながら、MDMの利用法を提案していきたいと考えています。

MDM(Mobile Device Management)=モバイルデバイス管理。モバイル端末のシステム設定やアプリケーションの配布を統合的・効率的に管理する仕組み。紛失・盗難時にはロック、データ削除などもできる。

 

【2015年12月7日】

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