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スマホ時代到来(6) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

子どもは知っている(2)

 今回は、私の研究室の学生らが姫路飾西高等学校(以下、飾西高)と姫路別所高等学校(以下、別所高)の生徒会執行部のスマートフォン対策を支援している事例を紹介しよう。大学生がファシリテーターとなり各校生徒会執行部が自分達のスマートフォン使用の課題と対策を話し合った。

■課題はほぼ同じ

  高校生が考えたスマートフォン使用の問題点は2校ともほぼ同じで、(1)睡眠不足になる、(2)いつもスマホが気になる、(3)ゲームに夢中な子もいる、だった。しかし、彼らが考えた対策はそれぞれまったく異なるものだった。課題は同じでも、必要な対応方針が違うのは、実際に使っている自分たちでないとわらかない機微なのであろう。

飾西高生徒会 ■飾西高の場合

  飾西高生徒会は、「実態調査をして、数字で危険性をアピールしたい」と主張した。同校の田中章愛校長と相談して近隣の高校にアンケートを実施、最終的に近隣23校、1988人がアンケートに回答。アンケートの中身は、筆者が以前行ったものを参考に高校生自身が最終的に考えた。「ネットで知り合った人と実際にあったことがあるか?」「ネット上彼氏(彼女)がいたことがあるか?」など、彼ら自身でしか思いつかない内容であった。

  集計と分析は大学生が(株)DeNAの協力を得て行ったが、アンケート結果は、彼らのたっての希望で、新聞記者等への記者会見で公表することになっている。

■別所高の場合

  一方、別所高生徒会は、「緊急性があるので、自分の学校の生徒に危険を訴えたい」と主張。最初は朝礼で問題点を話す予定だったが、「普通に話しても今時の高校生は聞いてくれない。寸劇形式で笑いを交えて」「生だと緊張するから録画してドラマ形式に」という提案になった。

  高校生はストーリーを考え、出演。大学生はシナリオ化と映像担当。大阪の中学校教諭(寝屋川市立第六中冨田氏)の協力を得て、約7分のドラマ教材に仕上がった。どちらの高校生も非常にがんばり、予想以上の取り組みに発展した。スマートフォンに対する彼らの危機感が高かったことと、大学生の斜めの位置からのファシリテート、2点が成功要因だと考えている。このあたりに解決方法の糸口があるのだろう。

■高校生の結論

  両校生徒は異口同音に「スマホの問題でなく、使い方の問題」と話す。

  「スマホは便利なもの」「賢い使い方をみんなで考えることが必要」「失敗しないようにみんなで考える時期だ」

  彼らの声を聞いているとスマートフォンの問題の解決は私たち大人が思っているほど難しいことではないと思えてきた。

  具体的な取り組み成果は次回。希望の持てる結果である。

【2013年11月4日号】

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