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スマホ時代到来(7) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

子どもは知っている(3)

■ネット上の彼氏彼女

 今回は、姫路の高校生のスマートフォン対策の成果を報告する。

  姫路飾西高校の生徒会では、自分たちで近郊の高校を含めたアンケート調査を行った。その質問内容も自分たちで考えたのだが、その項目には感心した。

  彼らは、私の調査項目、「面識のない人とメール等をしたことがありますか」をさらに進めて、「ネットで知り合った人と実際に会ったことがありますか」「ネット上の彼氏(彼女)がいたことがありますか」という項目を考えた。私にとって、「ネット上の彼氏(彼女)」というのはまったくの想定外で度肝を抜かれたが、彼らは「自分の学校にはいないけど、巷ではよく聞く話」と平然と言ってのけた。

  私は各地で講演し、NHK等のテレビにも出演し、もの知り顔で子どもたちとスマホについて話しているが、自分がいかに現実を知らないかを再確認した。私だけでなく、大人は子どもから学ぶ姿勢が必要だろう。

■スマホと携帯で生活習慣に違い

スマホと携帯で生活習慣に違い スマホ所有率
男子 85・0%
女子 87・1%

  予想通り、男女ともほぼ全員が携帯電話を持っていたが、スマホ率は男女とも9割に迫る。スマホ時代到来である。

 右のグラフは、「不所持」「スマホ所持」「ガラケー所持」の比較(%)だが、高校生の場合、「スマホ所持」で「勉強に自信がない」が高率である。

  高校生は「テスト勉強もLINEでやるけど、集中できない」という。

  「ノート内容をLINEで共有したり、わからない問題を教え合ったりして、助かる」そうだが、「結局、だらだら話してしまって、成績が上がらない」とも話す。

   スマホが原因かはわからない。しかし「卵が先か、鶏が先か」と同じで、スマホを持っている子に重大な何かが起こっているのは事実だろう。

■スマホ女子に危機

  最も深刻に受け止めたのは次のグラフである。

  「スマホ所持」は、知らない人と過半数がメール等をし、約13%が実際に会っている。

  さらに分析すると、「スマホ所持」の女子でネット上に彼氏がいた経験があるのは5.7%と判明。クラスに1人以上いる。

  この数字を見た高校生は、「あまりに無防備で危険なので、みんなにアピールしたい」と話すが、ここからは、大人側の責任だと考えている。

  兵庫県猪名川町の中高生が来年1月18日(土)スマホ・サミットを開く。姫路の高校生に触発されたそうで、私も関わることになった。楽しみである。

【2013年12月2日号】

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