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スマホ時代到来(8) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

子どもは知っている(4)

今回は、姫路の高校生のスマートフォン対策の続報である。

■姫路別所高校生徒会

スマートフォン対策

ビデオドラマを撮影

スマートフォン対策

高校生と大学生で台本を検討する

 姫路別所高校の生徒会諸君は、スマホについて話し合う中で、ネット依存に危機感を持った。

 「大人が一方的に注意しても誰も聞かない。僕たち自身で訴えたい」

 朝礼等の機会に生徒みんなに話すことにしたが、「ただ話すだけでは誰も聞いてくれない」

 悩んだ彼らは、寸劇等で笑いながら学べるものにしようと考えた。生でやると緊張するので、撮影しておきたい…。

 最終的には、うちの学生たちや私の知人等でサポートし、約7分のビデオドラマが仕上がった。

 ストーリーは、「スマホゲームに夢中になる高校生に母親が注意しているとテレビでスマホ特集が始まり一緒に観てみると……」というもの。

  母子、ニュースキャスター、解説する大学教授、飼い犬まで、演じるのはすべて高校生である。高校生のたっての希望で、メイキング映像も挿入。ストーリーや衣装等、細部にわたり、高校生の意見で事を進める。出演も高校生。大学生(もちろん私も)は前に出ず、支援者の位置にいることに努めさせた。

■思いは伝わる!

  彼らが自校の体育館で一般生徒にビデオを見せて、自分たちの思いを語る場面に立ち会った。

  彼らは「誰も見てくれなかったらどうしよう」と不安に思っていたが、一般生徒諸君は、真剣そのもので見ていた。彼らにしたら、真剣に見過ぎて、笑って欲しいところで笑いが少なかったのが残念だったほどである。

  高校生自身の生の思いがストレートに伝わったからであろう。

■答えが少し見えた

  熱心に見ている生徒諸君を見ていて、スマホ問題対策の答えが少し見えた気がした。

  当事者である子どもたちが考え、それを当事者である子どもたちに伝える。稚拙な形でもかまわない。大切なのは完成度ではなく、伝える思いの熱さである。子どもだけでは無理な部分は大人が支える。

  もっと言えば、子どもたちが考える機会を作ることが大人の責任だろう。

【2014年1月1日号】

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