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第4回 全国ICT支援員探訪<柳川市立豊原小学校 佐藤瑞穂助教諭>

ICT支援員を経て教壇に 校務分掌に「ICT環境」

柳川市立豊原小学校 佐藤瑞穂助教諭
ICT支援員を経て昨年度から助教諭に

詩人北原白秋の故郷や水郷の町として知られる福岡県柳川市。市立豊原小学校に、この春ICT支援員の経験をもった教員が赴任した。ICT活用をサポートする側から、教壇に立ちICTを活用して教える立場へ。視点の違いと今後の取り組みについて、佐藤瑞穂先生に聞いた。

■ICT支援員時代の視点

佐藤先生は、平成24年度の1年間、佐賀県立有田工業高校でICT支援員として勤務。佐賀県のタブレット実証校として電子黒板や教員と生徒用のiPad(※1)約240台が導入された現場で、その活用支援を経験した。児童が解答したテストプリントをiPadのカメラで撮影し、電子黒板に映して全員で共有する、理科の実験の様子を撮影した動画を見せ、事前の注意を促すといった基本的な活用から、生徒が電気回路図の画像に配線を書き込むといった工業高校ならではの活用、卒業式で感謝の想いと決意を伝えるための活用など、先進的なICT環境に試行錯誤しながらも、前向きに取り組もうとする先生や生徒を支えてきた。

ICT支援員時代は、「この機能を使うともっと良いのに」「さらに活用すると効率化できるのに」といったハードウェアやシステムを授業の中でどう活用できるかに視点を置き、支援や研修を行ってきたという。

■教壇からの視点

平成25年度から、柳川市内の小学校に教員として勤務。小学校で教える立場でICTを活用している。

赴任した学校のICT環境は、簡易式電子黒板が1台あるだけ。すぐに操作できない環境に、思うようなICT活用には至らなかったという。

しかし今年度から赴任した豊原小学校では、各教室に電子黒板が常設され、デジタル教科書も導入されている。どの学級でも日常的にICTが活用されており、使いたい時にすぐに活用できる環境の大切さを実感している。

TTで他の教員の授業に入る場合は、ICT機器の操作補助などICT支援員のような動きも意識しているが、自分が授業するときは、授業の充実に視点を置いて取り組んでいる。

児童の集中がツールに向かわないように、板書と電子黒板の併用を心がけ、学習内容が流れてしまわないようにしている。効果的な活用のために、「あえて使わない」という選択肢も探っていきたいと話す。

■校務分掌に「ICT環境」

豊原小学校では、学力向上の取り組みのひとつに「教育の情報化」が位置づけられており、その中の「ICT環境」を校務分掌として担当している。

民間企業の実証研究(※2)や、市のICT教育の推進に関する研究校に指定されており、今後はタブレット端末の活用についても研究を深めていく予定だ。

授業という限られた時間の中で学習目的に到達し、学びを深めていくための効果的な活用方法や、教員と児童が使いやすいICT環境などを校内に広め、学力の向上につなげていきたいと話す。そこには、タブレット端末を活用する現場でICT支援員として活動した経験が活かされるはずである。

(※1)佐賀県立高校は、平成26年現在、Windows8の端末を採用。
(※2)ダイワボウ情報システム(株)DIS School Innovation Projectに採択されている。

【豊原小学校のICT環境】
DISスクールイノベーションプロジェクト実証校(1クラスの児童数分のタブレット端末と学習用コンテンツ等)、電子黒板(全普通教室と理科室)、書画カメラ(全教室)、デジタル教科書(国語、算数、書写、社会、理科)、校務支援システム、校内LAN(有線・無線)

【2014年6月2日】

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