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■食品会社と教育現場の橋渡しを

食育を支援するWeb
  「みんなの食卓〜食事バランスガイド版

和田絵里子 氏
凸版印刷株式会社
パッケージ事業本部Eビジネス部
和田絵里子 氏
 
凸版印刷株式会社では2006年10月、食育を支援するWebサイト「みんなの食たく〜食事バランスガイド版」を公開した。広く印刷一般を手がける同社が、なぜ「食育」に関わるサイトを手がけるに至ったのか。その経緯と今後の展開について聞いた。


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 「みんなの食たく〜食事バランスガイド版」は、ホームページ上の簡単な操作で、厚生労働省・農林水産省が策定した「食事バランスガイド」に則り、1日分の食事を並べて食事バランスをチェックできるというもの。監修は東京書籍株式会社。農林水産省の平成18年度「民間における食育活動促進支援事業」の採択により制作され、今後、小中学校での食育授業にも活用されるよう支援活動を展開する予定だ。

 同社は印刷会社として幅広く食品パッケージの印刷・デザイン提案を手がけている面から、多くの外食産業メーカーや食品メーカーなどとネットワークを持っている。また、農林水産省の「ユビキタス食の安全・安心システム開発事業」においてトレーサビリティシステムを提供し、情報公開の手伝いを行ってきた。トレーサビリティとは、その商品の原材料管理や製造・流通過程に関する情報の履歴を管理し、開示を行うことだ。

 ところが、公開された情報は専門的で一般消費者には分かりにくい面があった。例えば食品メーカーが「健康を損なわない農薬」という観点で心をくだき開発、製造を行っていても、一般消費者にとっては「農薬を使っている」としか受け取ってもらえないという。

 「食を手がける会社や製品開発者には、その製品にかける思いを深く持っているものです。どんな材料を使っているのか、その食品をどれくらい摂取すればどのようなメリットがあるのか。防腐剤や農薬の使用にあたりどのような研究が行われているのか。そこで食にまつわる知識や各企業の食育支援に関する活動を、弊社のネットワークや情報公開のノウハウを生かし、より学校教育や地域に伝えていく手段として、『食育』をテーマにしたコンテンツの制作を手がけました」

 近年、情報開示が必須とされ、各社こぞってWebサイトで商品紹介に留まらない情報開示を行っているが、いずれも個別展開でしかない。それらを学校教育に生かし、身体を健やかに育む食の知識を分かりやすい形で地域や家庭に浸透させていくこと。その第一歩が「みんなの食たく〜食事バランスガイド版」という形になった。「誰でも使える無料コンテンツで操作性も簡単です。多くの小中学校現場で使っていただけるものができました」。今後、コンテンツを活用した各校の指導案や授業内容も掲載予定だ。このコンテンツを軸とし、今後は各食品メーカーの活動や研究成果を学校現場や地域に伝える活動を展開していくという。「情報開示とコミュニケーションはステップが違います。メーカーと教育現場の橋渡しとなり、信頼関係を構築するお手伝いをしていきたいですね」

http://package.toppan.co.jp/shokuiku/

(聞き手 西田理乃)

【2007年3月3日号】