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株式会社魔法のiらんど
アイポリスグループマネージャー
鎌田真樹子 氏
表現できる場を通して子どもの可能性を育む

前田哲郎氏写真
株式会社魔法のiらんど
アイポリスグループマネージャー
鎌田真樹子 氏

 「魔法のiらんど」(運営 株式会社魔法のiらんど)は、99年12月のサービス開始以来、今年3月末時点で累計520万ID、月間19億ページビューを記録、中高生を中心に多くの子どもが利用する無料ホームページ作成サービスだ。また小中高への出張授業や、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と協力した情報モラルの啓蒙活動も展開している。子どもたちの利用実態と情報モラル啓蒙活動の取組みについて、アイポリスグループマネージャー・鎌田真樹子氏に話を聞いた。

「魔法のiらんど」のユーザーは、15〜18歳がもっとも多く、なかでも女性の利用が7割を占める。PCと携帯電話から閲覧できるサイトは、日記やプロフ、アルバム、掲示板、BOOK(小説作成)など、30種以上の機能から手軽に自分のサイトを開設できる。若者の携帯文化を支える、国内最大級のコミュニティ・サイトだ。

「気付き」生む工夫

コミュニティ・サイトでは、サイト内を巡回・監視するセキュリティシステム「アイポリス」がトラブルの生じたサイトで警告や仲裁、指導を行うため、常に「見られている」という抑止力が働く。また守るべきマナーや著作権、肖像権などについて平易に解説するコーナー「教えてアイポリス!」を設け、子どもが自然にネットのルールやモラルを学ぶ機会を提供している。鎌田氏はその特徴について「守られた環境の学校と自由な社会の間にある『魔法のiらんど』は、子どもが利用するには理想的な場」と説明する。

それでも起こるトラブルには、問題箇所の即削除ではなく、何が良くないのかを警告・指導して気付かせたうえで鎮静化させている。そこには、トラブルをなかったことにするのではなく、「警告・指導」という形で表に出すことで、ユーザーに「良いこと、悪いこと」を気付かせる狙いがある。

学校と共に育む

「サイトの運用は、意見の調整や質問への受け答えといった、サイト訪問者の管理や、どのようにしたら多くの人の興味を惹き付け注目されるかを考えることにつながる。ユーザーはサービスを提供する企業と同等の活動をしていると言えます」

初期の頃から利用しているユーザーがモラルやマナーを身につけ、ユーザー相互の教え合いが行われるようになった今、アイポリスの活動も仲裁だけでなく、コンテンツの作り手に対する運営上のサポートやアドバイスも増えているという。

「今の子どもたちが大人になれば、私たちでは想像もつかない、まったく新しいサービスやコンテンツを創り出してくれるでしょう。そのためには『してはいけない』と規制して子どもたちの可能性を摘むのではなく、先生方と私たち企業が一緒になってインターネットをより良く利用できる環境を作り、子どもたちの表現できる可能性を育んでいきたいと思います」

同社では今後も積極的に出張講座等を通して、情報モラル活動を続ける予定だ。

(聞き手 吉木孝光)

【2007年7月7日号】

 


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