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Yahoo!きっずが指導教材を提供
子どもの利用に変化〜”コミュニティ”サイトを開設

鶴岡弘子 氏
ヤフー(株)サービス統括企画1部
きっず企画リーダー
鶴岡弘子 氏

 97年の開設以来、現在月間1億ページビューを誇り、子ども向けポータルサイトの国内シェア第1位を走る「Yahoo!きっず」。開設から10年の節目を迎え、今年8月には新たに子ども向けコミュニティーサービスを開始した。PC利用の低年齢化が進む中、同サイトに集まる教育関係者や保護者の関心は高い。サイトでの取り組みと今後の展望について、Yahoo! JAPANサービス統括部きっず企画リーダー・鶴岡弘子氏に話を聞いた。


  ◇     ◇

  「Yahoo!きっず」では現在、「楽しむ」「調べる」「知る」の3分野で計23のサービスを提供している。これまで比較的まじめな<Tービスを楽しく学べるように工夫されてきたが、時代の移り変わりのなか、子どもたちのニーズもまた変わってきた。

「昨今ではアバターを作りたい、オンラインゲームで遊びたいというエンターテインメントやコミュニティ系のコンテンツを求める子どもが増えています」

  従来、そうした娯楽性の強いサービスの提供を極力控えてきた同サイトだが、やはり利用者ニーズは無視できない。一方で、ネットを端緒としたトラブルの解消は喫緊の課題だ。そこで今年8月には、子どもの変化に応えながら、安心して使えるコミュニティ機能を持った「Yahoo!きっずポケモン」が始まった。

  このサービスでは、アバターを作り、対戦ゲームでポイントを獲得、また仮想テーマパーク「ポケモンガーデン」で定型文や感情アイコンを利用したコミュニケーションをとることが可能。他方、チャットでは定型文形式を採用して誹謗中傷を避け、迷惑行為を行う参加者をブロックする機能も設けるなど、子どもたちがまずは安全なコミュニティで安心して楽しめる配慮がなされている。新しい時代に対応する「Yahoo!きっず」のシンボルとも言えるサービスだ。

PCだけでなく外でも

  また図鑑コンテンツには、生き物の鳴き声を出題するクイズや臨場感のある動画や音声資料等が揃う。そこには、ネット上の情報を現実の世界に引き継いで活かして欲しいという同社の想いがこめられている。

  「Webでは、紙やTVといった従来メディアにはできないことを解決できるメリットがあります。しかし、それはあくまでツールの1つ、子どもには実際に外で泥だらけになりながら調べることも大切です」

  そこで同サイトのコンテンツを屋外からも見られるよう、現在、携帯電話向けのサービスも検討されている。

指導教材も

  このほか、「インターネット5つのルール」「ネットのマナーABC(学習参考資料、ワークシート、合格証)」「インターネット調べ学習ノート」など、教育関係者が授業で手軽に利用できる指導用教材もサイト上で公開。さらに学習関係のコンテンツをまとめ、より学校が利用し易いサービスも検討中だという。

  今後の「Yahoo!きっず」の役割について、鶴岡氏は「家庭と学校の両方で使え、悲しいとき嬉しいとき、様々な場面で子どもたちの近くにあるサイトでありたい。今後も子どもの生活に密接に関わるサービスを提供していきたいですね」と語る。この10年、多くの子どもたちがインターネットの始めの一歩として利用し、様々な情報に触れ、学び、活かしてきた。時代の変化に流されるのでなく、社会と子どもを結ぶポータルとして、同サイトに掛かる期待は大きい。

(聞き手 吉木孝光)

【2007年12月1日号】


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