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参加者の声(抜粋・敬称略)―首都圏から航空機で九州へ

●関東にない学習素材が点在目的絞り 近い空港の選択を

  大分県の城下町杵築は、季節を選べば班別行動に活用できそうだ。安心院の民泊体験は、いろいろな地域でこのような企画が増えているので、「これが安心院」という売りをさらに期待する。
4県共に新たな工夫があり、関東にはない体験学習や民泊、平和・環境・歴史学習等が点在している。今までインプットされている教育旅行に対する既成概念を改革する必要性を感じた。高速道路の発達により移動時間は短縮されたが、まだ時間がかかる施設もあるので、何を学ばせるかを絞り、その施設に近い空港を利用すると便利。自分の足で歩き、見て、思い出に残る修学旅行を企画してみてはいかがだろう。(品川区立城南中学校校長/浜口博幸)

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●民泊は農作業をすることで食への意識が変わるだろう

  視察に参加して本当に良かった、勉強になったと感じている。2泊3日で4県ということで移動を不安に思ったが、バスに長時間乗ったと感じることもなかった。今まで民泊体験にはあまり馴染みがなく、興味深かった。地域の方々と寝食を共にし、深い関わりあいが出来ると期待する。また、農作業を行うことで食に対する考え方も変わってくるのではないかと思う。本校は比較的大規模校なので、受け入れ先の心配はあるが今後考えてみたい。(横浜市立豊田中学校/杉村絢子)

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●長崎の平和学習と結べる大刀洗平和記念館の平和学習

  大刀洗平和記念館は、平和教育にぴったりで長崎からもさほど遠く感じない。また、知覧などの前線基地の親校でもある。シアター映像は、現在の街と比較をしながら、死んでいった兄弟のことが描かれており、涙なしには見られない。続いての詩の朗読は、しんみりと生徒の心に訴えるものがある。九州を想定すると、どうしても長崎での平和教育がメインになるが、この館と結ぶラインも有力な訪問地となってくるだろう。(横浜市立上郷中学校/蝋山利幸)

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●戦争の悲しい現実を実感できる重要な九州エリア

  長崎市は、北側に「原爆地としての長崎」と港側に「幕末における歴史と文化」の2つの側面を持つ街なので、生徒は混同することなく学べ、班別行動などに適していると実感。長崎原爆資料館は、平和学習を積んだ生徒たちにとって自分の目で見て事実に触れることができる場所で、戦争の悲惨さを再確認することができるだろう。この悲しい現実を受け入れ共存していき、このことを後世に伝えていく必要を生徒たちに実感させるのに、九州はとても重要な場所と考えられる。(横浜市立早渕中学校/木野裕之)

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●生徒の「生き方」に関わる長崎「軍艦島・端島」

  一番感じているのは、どこに行っても、体験の場が充実していて、多くの生徒の満足度が高いだろうということだ。
今回一番興味があったのは、「軍艦島・端島」。上陸し、第1見学所で「10秒間静かにして欲しい」とガイドの方が言われ、何だろうと思ったが第3見学所で答えがわかった。昭和49年に閉山・無人島となったこの島は、耳を澄ましても何の音も聞こえない世界で、この島のように日本を、世界を、地球を何の音もない世界にして良いのかという問いかけだったのだ。一人ひとりの生徒にとって、過去から現在、そして未来・将来を見越した「生き方」にも関わってくるものと思われた。(八王子市立横川中学校校長/佐藤晴実)

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●吉野ヶ里歴史公園の体験プログラムは興味深い

  吉野ヶ里歴史公園は、遺跡の保存と当時の施設の復元や発掘物の展示などにより、その場を訪れた生徒たちが、弥生時代を体験できる場だった。また、「銅鐸をたたいてみる」などの体験に加え、「火おこし」「土笛づくり」「勾玉づくり」といった体験プログラムも興味深い。視察旅行は大変有意義で、各都道府県の方々が熱心にチームワーク良く話してくれるので、本当に修学旅行を「歓迎」してくれるのだと確信した。(横浜市立豊田中学校/小林秀勝)

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●原爆だけではない戦争の犠牲を学べる九州の地

  九州では、長崎の原爆資料館を中心に事前学習をし、学んだものを目で見てくることにウエイトがあると思っていたが、そればかりではなかった。生徒は原爆についての知識は知っていても、他にもたくさんの犠牲があったことはあまり考える機会がないように思う。そういった意味も含め大刀洗平和記念館は、戦争はもちろん、特攻隊の人たちの気持ちや多くの民間人の犠牲についても学べる。(横浜市立早渕中学校/南川遼)

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●歴史教育の枠をこえて学びの楽しさが感じられる

  修学旅行で行いたいと考える教育活動のほとんどを、九州はカバーしている。九州国立博物館や太宰府天満宮、吉野ヶ里遺跡などでは、今まで教科書でしか見ることのなかった土器や仏像、遺跡などを間近に見ることができる。昔の日本人の生活様式や文化に触れることは、歴史教育という枠を超えて、学ぶことの楽しさを感じさせてくれるものだった。(横浜市立上郷中学校/五十嵐祥大)

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■同行した九州地区の旅行会社社員から見た見学地の感想や今後の期待

・日田温泉の屋形船での夕食はおもしろい。鵜飼の様子を見る時は、鮎の現状を知ることでより効果があがるだろう。
・大刀洗平和記念館は開館して間もないため、新しく見学がしやすいと感じた。定員が100名程だったので、中〜大規模校は分かれて見学する必要がある。
・佐賀県では吉野ヶ里遺跡の施設が徐々に充実し、弥生時代の生活等の学習もできるので、代表的な観光地だ。
・佐賀城本丸歴史館は、畳に座ってボランティアガイドの話を聞くことができる点がよかった。
・軍艦島に実際に行き、感慨深いものを感じたと共に、世界遺産になることで、今後も保存させることを願う。修学旅行のコースとしては、時間・費用で難しいかもしれないが、野母崎までバスで行き、本土から軍艦島を見る方法もあるので、そちらもお勧め。
・現状の中学校の修学旅行の場合、費用及び時間の問題もあるので、点より面を意識したコースを組み立てなければならないと改めて感じた。例えば、今回見学した大分の安心院の民泊にプラスして日田での自主研修など、近場の面で選択豊富な学習プログラムを充実させる必要がある。

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【2012年9月18日号】

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