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キャリア教育推進
従来の教育の見直しを
文科省専門家会議が報告書
■学習プログラムの開発へ
 キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議(主査=渡辺美枝子・筑波大学教授)は1月28日、変化激しい社会の中で児童・生徒が流されることなく、職業人・社会人として自立できる教育の推進に向けて、報告書をまとめた。

 報告書は、第1章「キャリア教育が求められる背景」、第2章「キャリア教育の意義と内容」、第3章「キャリア教育の基本方向と推進方策」、第4章「キャリア教育を推進するための条件整備」の4章構成。

 報告書の中で、キャリア教育を端的には「児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てる教育」と定義。今後の推進方法として、キャリア教育は、「一人一人のキャリア発達や個としての自立を促す視点から、従来の教育の在り方を幅広く見直し、改革していくための理念と方向性を示すもの」、また「各領域の関連する諸活動を体系化し、各学校が教育課程編成の在り方を見直していくことが必要」と指摘。

 従来の進路指導からより一層キャリア発達を促す指導への転換、集団生活に必要なマナーやコミュニケーション能力を育てる教育を重視。従来の職業教育においても専門的な知識・技能の修得に加えて、生徒自身が自主的にキャリア発達に取り組めるような教育を求めた。

 具体的には、発達段階の各時期に身につけることが求められる能力・態度の到達目標を具体的に設定し、学習プログラムを開発し先進的な取り組み事例も提示。また、各学校がキャリア発達の支援という視点から、教科の学習とキャリア教育は二者択一的な関係ではなく、相互補完的な関係にあるという認識に立った上で自校の教育課程を点検・改善していくことが重要と提言した。

 さらに、勤労観、職業観を形成しうる体験活動の計画的な促進、社会の仕組みや経済社会の構造について早期段階からの理解の必要性も言及。

 推進するための条件整備として、キャリア教育の中核的役割を担う教員を対象とした研修の充実、全ての教員を対象にした「キャリア・カウンセリング研修(基礎)」、「キャリア・カウンセリング研修(専門)」の実施。また、体験活動の受け入れ事業所などの確保と地域におけるシステム作り、さらにキャリアを形成していく方法などについて専門的な知識を持つ人をキャリア・アドバイザーとして学校に招き、講演会を実施するといった方策を示した。


【2004年2月7日号】