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高校入試・社会や国語でITの問題
社会事象と関連させ
 公立高校の高校入試問題でIT関連の問題が出題されている。このうち山形県では、社会科で社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会の「コピー禁止マーク」を取り上げ、マークの意味を問う。宮崎県は昨年開催された「全国マルチメディア祭inみやざき」に関連した問題でネットワークの問題点を記述させた。徳島県は国語の文章問題で、財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC)がまとめた「情報化が子どもに与える影響に関する調査報告書」中の中学生の変化に関するグラフを示して、インターネット利用についての自身の考えを書かせた。今後の情報化社会の功罪を明確に認識させる契機として、高校入試のIT関連の問題が登場するのは好ましい傾向である。

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 IT関連の問題は特に社会科で、次いで理科や国語、英語で出題されている。調べ学習に関連する問題も多く出題され、外務省や総務省のホームページを扱った問題も出題されている。

 著作権を取り上げたのは、山形県の社会科の問題。「個人情報保護法」制定の経緯を説明した文章の中で、社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会のコピー禁止マークが保護の対象としている権利を書かせた。時事的な動きについて、身近な問題から社会的な問題まで興味を持っているかを見るために出題。著作権問題は一般の新聞にも取り上げられ、生徒もレンタル店など様々な場で遭遇する問題である。

 宮城県も社会科の問題の中で、現代社会の特質の1つとして「情報化社会と情報通信技術の進歩」を示し、具体例として「インターネットの通信速度が格段に向上し情報の発信や受信が容易になった」と解説しながら、「情報を発信する際に十分配慮しなければならない権利を何というか」と聞き、当てはまる語句を書かせた。

 宮崎県は社会科の問題で「宮崎情報ハイウェイ21」に関連しインターネットの問題点について記述させた。「全国マルチメディア祭」という大きな大会が宮崎県で開かれたのを機に、地元で行われていることに関心を持ってもらうことを含めて出題された。

 「インターネットの利用についてのあなたの考え」を記述させたのは、徳島県の国語の問題。柳沢賢一郎氏「コンピュータはそんなにエライのか」の文章を読ませ、「自由」の前提条件や携帯電話使用のマナーについて考えさせる問題に続いて、CECがまとめた調査「インターネットを利用するようになって変わったこと」(中学生)のグラフを示し、インターネット利用についての自分の考えを、A〜Dの4つの条件を盛り込んで記述させた。

 福井県はコミュニケーションの方法に関する英語の問題で、英文に書かれている電子メールの3つの特徴、及びインターネットでコミュニケーションを行う場合に大切な2つのことを日本語で書かせた。

 同様に北海道は、賛成派、反対派に分かれ討論を行う英語のディベート問題で、主張とその理由を自由に英語で記述させた。

 また、長崎県は社会科の問題で、インターネットの利用者数を説明した文章を読ませ、表に当てはまる国名の組み合わせを選択させた。

 この他、直接インターネット・コンピュータに関連した問題ではないが、問題の導入部で、「B班はインターネットを使って企業の活動について調べた。
次の文は、自動車産業に従事している人が、自分の勤務している会社を紹介しているホームページの一部である」といった形で問題の展開に利用している例(愛媛県、山口県など)も見られる。



【2004年4月3日号】