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補正予算で進む学校ICT環境

 

               =新学習指導要領の円滑な実施に資する活用を=

                文部科学省生涯学習政策局
                斎藤晴加 参事官に聞く

平成21年度補正予算により学校の環境整備が進んでいる。これによりどの程度全国の学校にICT関連の整備が進むと予想されるのか。文部科学省生涯学習政策局の齋藤晴加参事官に聞いた。なお、既存の整備に加え補正予算により全体としてどの程度の環境整備が完了したのかについては、3月に実施予定の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」により詳細が出る予定。

 学校ICT環境整備についての補正予算額は、2067億円。新政権により補正予算が見直された結果、約6割程度にあたる1200億円程度の予算が執行される予定だ。補正予算の活用については、「全国的に積極的な自治体が多く、9割以上の自治体がなんらかのICT環境整備に本補正予算を活用している」と話す。

デジタルTV約28万台  電子黒板約2万台
校務用PC約34万台  教育用PC約36万台

 補正予算による小中学校等への整備は、デジタルテレビ約28万台、電子黒板約2万台(デジタルテレビの内数)、校務用PC約34万台、教育用PC約36万台、校内LAN整備約10万教室となる予定だ。
 「補正予算による整備の後押しにより、今年度終了時点では、インフラ整備はかなり進むはず。3月末の実態調査結果の進捗が期待できる」と齋藤氏は述べる。

 数値からの分析によると、校務用PC整備に関しては90%以上の整備完了が期待できる。また教育用PCについては、6人に1台程度まで伸びる可能性がある。
 校内LAN整備についても、6割半ばから7割強程度の整備が完了する予定だ。これにより、インターネットを使った学習がしやすくなり、情報や教材の共有がしやすい環境になる。
 電子黒板については、平均すると小中学校の約6割程度に整備される予定。
 デジタルテレビも全国的に整備が進む予定だ。申請状況によると、50インチ以上の大型テレビが多いという。

懸念はアナログTV
いまだ3割程度教室に

 懸念されるのは、いまだ約3割程度がアナログテレビのまま残ることが予想される点だ。このままでは、2011年7月以降、テレビを見ることができない教室が出てくる。そうならないようデジタル対応を早期に進めることが望ましい。
 「新学習指導要領には、コンピュータや情報通信ネットワークを使いこなす能力の育成や、情報モラル教育の充実が盛り込まれており、ICT環境の整備の進捗は、新学習指導要領の円滑な実施に資すると考えている。環境が整備され次第、積極的に活用していくことで、さらにわかりやすい授業、校務の負担軽減などに役立てていただきたい。活用が進み教育効果が検証されることで近隣の学校にも刺激になり、ICTの教育活用のさらなる加速が期待できる」
                         
 事業仕分けにより来年度におけるICT関連予算7本がひと括りに廃止という結果となったが、ICTの教育利活用についての重要性は認められており、今後も、アプローチが異なる可能性はあるものの学校におけるICT環境整備や利活用は進んでいかざるを得ない。

 なお、今回の補正予算には、「電子黒板を活用した教育に関する調査研究」として、全国115校の小中学校全教室に電子黒板を設置、その活用効果を測ることも盛り込まれている。補正予算見直しにより当初予定されていた調査期間が短縮された点は惜しまれるが、積極的な取り組みを期待したい。報告結果の発表会などは未定だが、報告書は3月末にまとめられる予定だ。

【2010年1月1日号】


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