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ICT支援の輪 九州から

「九州ICT支援協議会」設立今年度中に

 九州地区で「九州ICT支援協議会」設立の準備が進んでいる。文科省の『教育の情報化に関する手引』第10章では、ICT支援員の位置づけについて具体的に言及された。また、4月8日総務省から公表された「教育分野におけるICT利活用推進のための情報通信技術面に関するガイドライン(手引書)2011」でも、ICT支援員の必要性が言及されている。「九州ICT支援協議会」設立に先駆け、4月16日、九州地区のICT支援員や企業等を中心に有志が集まり、意見交換会が行われた。

ICT支援員、教委、企業連携で

 発起人の桑崎剛氏(熊本市立河内中学校教頭)は「学力低下の解決の糸口として、ICTの教育利用があり、その成果達成や教育利用にはICT支援(員)がポイントになる。熊本・佐賀・福岡は比較的その支援の仕組みができているが、横の連携はこれから。ICT支援の輪を九州から広げていきたい」と述べる。

  九州地区においては宮崎県でもICTアドバイザーの配置が始まり、鹿児島県でも同様の動きが見られているという。また、大分県は今後3年間、情報教育を推進する体制として「コンシェルジュ」を配置する。熊本県は特に活発で、NPO法人ICTサポートスクエアが中心となり、ヘルプデスクや教材作成などを実践している。

 同日の意見交換会では、現在ICT支援に関わる企業からも現状が報告された。

  教育の情報化支援を全国展開している内田洋行の佐藤喜信氏によると、「ICT支援員が常勤しているフューチャースクール実証校においては、ICT機器の利活用が進んでいる。50%近い教員がICT機器を毎日活用しているというアンケート結果も出ているようだ」と話す。学映システムでは佐賀県内でICT支援を請け負っている。同社の田中康平氏は、「佐賀県内では、平成22年度末時点で支援員を置いている自治体が5つある。また、九州唯一のフューチャースクールがあり支援員が常駐している。フューチャースクールでICT支援員に求められるスキルはかなり高い印象だ。レベルの高いスタッフであるが、1人ではさばけない場合もある」と話した。ベネッセコーポレーションは、2000年から小中学校のICT支援事業を行っており、累計3500校にICT支援員を配備している。同社の小柳博崇氏は「ICT支援事業では、一定の資質を持った支援員の募集・採用や研修の仕組み、さらには支援員をサポートするバックオフィスの機能強化が重要である」と述べた。

  今後、会ではICT管理や授業支援などをテーマに定期的に勉強会を実施していく。特に「情報モラル教育」および「デジタル教材・教科書」は重点的に行う。遠隔地のICT支援員にも参加しやすいよう、将来的にはTV会議の中継も検討していく。次回は夏季休業中に実施する予定。

【2011年5月9日号】


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