【教育の情報化にむけて】EDIXから見る教室環境

学習者用端末の連携と電子黒板の大型化進む

EDIX
黒板大の電子黒板(参考展示)ならば、資料
を展示しながらテレビ会議ができる
EDIX
最大ワイド90インチを提示できる電子黒板
機能内臓プロジェクターは多機能で低コスト
EDIX
タブレット端末と電子黒板を
連携した模擬授業が多く見られた

小中高等学校においてデジタル教科書を始めICTの授業活用度を上げるためには、大型デジタルテレビやプロジェクター、電子黒板、書画カメラ等提示環境の「全普通教室整備」が必要であると言われている。授業で活用する機会が増えるに従って、教室の提示機器は「提示する装置」から授業デザインを構成する重要な要素の1つとなる。それに伴い、デジタル教科書・教材等コンテンツの重要性や有用性が現場に浸透し、より具体的な教材研究が進んでいく。そんな動きが全国で徐々に展開している。様々な教育ICTに関わるシステム等が提案・展示されていたEDIXから、現在及び未来の教室環境をアップさせる仕組みを取材した。

 5月16〜18日に開催された教育ITソリューションEXPOにおける電子黒板関連の展示では、教室環境を再現した模擬授業が多く展開された。特に目立ったのが電子黒板等提示機器の大型化、iPadほか各種情報端末と電子黒板の連携だ。児童生徒が学習者用端末に書き込んだ内容を電子黒板に提示できる仕組みが各社で見られた。

黒板大の電子黒板

 シャープは、黒板大の電子黒板を展示(参考出展)し、注目を集めた。この迫力ある教室環境がすぐに全国の公立小中学校で実現することは難しいかもしれないが、既に大学や私学等から問合せがきているという。

  この大型電子黒板は60V型液晶画面を8台つなげたもの。それに学習者用タブレット端末を連携させた学習環境を実演した。大型画面で学習者用端末の児童生徒画面も18人分を一度に閲覧、比較することができる。

  大型の電子黒板ならばテレビ会議等遠隔地とのコミュニケーションもスムーズだ。外国語活動では海外につないで海外連携校や外部講師とテレビ会議を使った授業を展開する。給食の時間には食育の一環として、食材が提供された農家からビデオメッセージが配信される。校内の飼育小屋を教室でリアルタイムに観察するなど、様々な活用シーンが提案された。

4人で書き込みも

  パナソニックでは、7月に65インチの電子黒板「TH‐65PB1」を発売する。注目が集まったのが、参考展示の85型モデルだ。いずれも最大4人が同時に4色の違う色で書き込むことができる。教育現場の大型化ニーズに対応し、85型についても今年度内に製品化の予定という。

電子黒板機能内蔵
PCレスプロジェクター

  エプソン販売では、学校環境に合わせて選択できる電子黒板環境のラインナップを展示した。プロジェクターのみで、PCなしでも黒板やボード上に書き込みができる。電子ペンも2本同時に使うことができ、書画カメラとも直接連動する。

  学校ニーズに合わせ、壁掛け型、プロジェクター一体型、プロジェクター取付型の3タイプを提供。最大でワイド90インチの大画面を実現する。16Wスピーカー内蔵で、教室後方まで音声が届くなど多機能でありながら低コストである点も魅力だ。世界に先駆けて電子黒板を公立学校に一斉整備したイギリスでは、現在その多くが、壁掛け型・電子黒板機能内蔵プロジェクターに代わっているという。

◇   ◇

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95インチのプロジェクター
一体型電子黒板

  日立では「フューチャースクール環境」として、iPadと同社の電子黒板「スターボード」を連携する模擬授業を行った。「スターボード」は3人による同時書き込みができ、2本指による拡大・縮小ができる。地デジチューナー内蔵で遠隔地と画面共有しながら書き込みなどもできる。同社では、ボード型、プラズマ型、ポータブル型のほか、デジタルテレビに後付けして電子黒板化できる「後付け型」を提供している。

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  ナリカは、高精度で堅牢さが特徴の電子黒板「アクティブボード」を展示。95インチという大きさは迫力がある。専用ソフトを使えば、先生用ペンと生徒用ペンの2本を同時に使って書き込むことができる。ペンは電池不要。手書き文字の認識機能もある。

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  日学は、学校ICT仕様のスクリーン兼用ホワイトボードを使った電子黒板環境を展示した。この超薄型壁面ホワイトボードは、壁面全面をホワイトボードにでき、低価格を実現。光が反射しにくく、プロジェクターのスポットと呼ばれる光源が出ない仕様。ボード上に直接書き込むこともできる。

日本で初登場
2カメラ付書画カメラ

EDIX
お札の模様も書画カメラで鮮明に見える

  アメリカから低価格・高性能の書画カメラが登場した。

  「HoverCamNeo3」は、16倍デジタルズームができる500gと軽量の書画カメラだ。カメラが2台あり、例えば「手元」「発表者の顔」など、2か所を同時に撮像できる。

  書画カメラで投影した画面に書き込みができるツールも搭載。撮像したものは静止画、動画ファイルで保存できる。

  USB接続とRGB接続ができるので、PC経由はもちろん、プロジェクターやテレビと直接接続できる。導入しやすい低価格も魅力。機能レベルに合わせ3種類あり。

【2012年6月4日号】

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