【学びのイノベーション事業】電子黒板の大きさと目の疲れに関連性も

 第4回学びのイノベーション推進協議会が文部科学省で開催され、各ワーキンググループの活動成果が報告された。1人1台端末環境によるCRT標準学力検査「A問題」「B問題」による学力向上とICT活用における健康への影響に関する調査結果も発表された。

  五十嵐委員(日野市立平山小学校長)は、1人1台端末における学力向上への影響について、「算数においてA問題以上にB問題で学力に伸びが見られた。基礎基本がないと活用力は身につかない、とは言い切れない」と報告。従来、B問題で計測される「活用力」は、A問題で計測される「基礎力」が礎となるというのが大方の見方であるが、「同時に伸ばす」、さらに「活用力」の伸びが「基礎力」の伸びをサポートしていく可能性を示唆した。

1か月で成果がわかる

 活用力の伸びの要因について五十嵐委員は「授業中絶えず発信し続けなければならない教員のエネルギーが、1人1台端末により意識が変わり、1人ひとりの子どもの学びに意識を向けやすくなったことが大きいのでは。若い教員が多い本校においては、毎日が創意工夫を重ねる時間となっており、それがタブレット端末活用にも良い影響を与えている。初任者研修では、授業イメージを持つことが重要であることを考え、授業見学は必須」と述べた。

 東原委員(信州大学教育学部教授)は「最初から完璧を目指さなくても良い。まずやってみることで1か月かからずに先生が変わり授業の変化の兆しが見られるようになる」、岩崎委員(岩美町立岩美中学校教諭)は「班に1台の導入でも成果を感じている」と報告した。

ICT活用と健康

 ICT活用による子どもの健康への影響等に関する調査結果も報告された。調査では、実証事業参加校に対してICTを活用した授業の前後における身体の調子を比較。顕著な変化は見られなかったとしながらも、中学校では、授業前と比べて授業後「目が疲れる」と回答した生徒の割合が高く、「電子黒板等の画面が見にくい」と回答した生徒にその傾向が強く表れていることが分かった。「電子黒板等の画面が見にくかった」と回答した中学生は17・6%であり、小学校の9・7%よりも高い。このため、提示する場合の教室環境や大きさなどに留意することが必要であると報告された。また、「ゲームを長時間利用する生徒」「睡眠時間が短い生徒」「視力が低い生徒」のほうが「目が疲れる」と回答した割合が高かった。

【2013年7月1日】

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