第2期教育振興基本計画の実現に向けて

新教育委員会制度で教育改革

教科書制度や大学入試、教育委員会制度の見直しなど、かつてないほどのスピードで教育改革が進められている。1月から討議が始まった政府の教育再生実行会議では、昨年10月までに第四次提言までとりまとめられている。文部科学省初等中央教育局の前川喜平局長は5月19日、一般社団法人 日本教材備品協会の総会で、「初等中等教育の課題と展望」をテーマに講演。教育再生実行会議についての進を語った。なお7月には第五次提言がとりまとめられる予定である。

首長と教委がともに議論を 「総合教育会議」で予算計画も

前川 喜平局長
文部科学省
初等中等教育局
前川喜平局長

第二次提言では、教育委員会制度について取りまとめられた。中教審においても議論が分かれ、2案が提出された。さらに自民党による改革案も提出。最終的に合意したのが、「教育長と教育委員長の一本化による新たな責任者(新教育長)の設置」と「総合教育会議の設置」だ。

新教育長(以下、教育長)は首長が直接任命・罷免権を持つ。首長の任期中に教育長を任命することができるよう、首長の任期が4年であることから、教育長の任期を3年とした(教育委員は4年)。

首長は「総合教育会議」を主宰する。構成員は首長、教育委員会。会議には有識者等の参加を求めることができる。総合教育会議では、教育行政の大綱(各地域の実情に応じて定める教育の振興に関する施策の大綱)の策定や、教育の条件整備やそれに係わる予算の調整など重要な教育施策の方向性、緊急事態への対応などを協議する。教育長の事務執行に対して教育委員会のチェック機能を強化するため、委員は教育委員会会議の招集を求めることができる。

首長と教育委員会が共に議論できる場が制度的に設けられたことの意味は大きい。首長のリーダーシップが強まるとともに、情報共有が進むことで、教育課題における協議や教育委員会予算の確保などがより円滑に進んでいく可能性が高まる。

今年度から新たに「義務教育諸学校における新たな教材整備計画」が平成33年度までの10年間措置されている。単年度約800億円、10か年で約8000億円。教材整備指針(平成23年4月通知)に基づく例示教材等の整備に必要な経費を積算したもの。電子黒板やデジタル教科書等も整備項目となっている。これらについての整備を計画的に進めることも協議事項の一つとなる。

ついては早急に各市区町村で、教育大綱を設けて頂きたい。「大綱」は、教育の振興のための基本理念及び基本目標とその実現のための施策体系や重点事業を明らかにした、教育の指針であり、必ず作成しなければならない。

会議の開催回数について規定はないが、教委委員会会議2回に対して、総合教育会議が1回程度の割合の開催などが考えられる。

新制度の開始は平成27年度4月から。新しい「教育委員会制度」によって、首長の教育に対する意識がより高まることが期待されている。

【2014年6月2日】

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