教育長に聞く〜未来の学びを築く―越前市 中島和則教育長

越前市の教育3本柱 夢・読書・ICT

越前市 中島和則教育長校内LANや教員用PCの整備などICT環境整備に早期より着手しており、デジタル教科書や校務支援システムの整備率は100%の越前市。教員時代から同市の情報化の進展に貢献している中島和則教育長に、越前市の情報化の現状と今後を聞いた。

学校の環境整備は早期に着手すべきであり、ICT活用は、教育改革というよりは「授業改善」に役立つものと考え、県内でもいち早くICTの環境整備に着手した。平成18年度に「教育の情報化アクションプラン」を策定し、校内LAN整備や教員用PC1人1台配備、クラス用PC配備と順次進めていった。

早期の学校環境整備が実現した理由の1つに、行政の応援がある。

本市では、学校、行政、消防のLANが接続されて連携が可能になっており、各サーバの整備や更新、メンテナンスは市長部局の情報統計課が一括して行っている。ネットワークやサーバの更新・管理を行政負担とすることで、教育委員会では教育内容に関連した整備に注力できる。本市の人口が10万弱だからこそ実現する仕組みだ。

平成24年度にはPC室や普通教室のICT環境を更新し、デジタル教科書を全教科、実物投影機を全教室に整備した。提示したいものを大画面でいつでもすぐに提示できる環境は、特に重要であると考え、本市では、カートにプロジェクターやPC、実物投影機をセッティングして全教室に配備、全普通教室に提示環境を確保した。導入当初は、どの教室のどのプロジェクターがどれくらい使われているのかについて履歴もとった。現在、小学校ではほぼ毎時間、中学校では、教科や単元によって違いはあるが、市内のどの学級でも活用は定着している。

また、平成25年度には校務支援システムを導入し、教員が子供と向き合う時間の確保に努めている。事務職の共同実施も先行して進めている。

全国的に注目が集まっている学習者用端末だが、本市では、まず特別支援教育で実績を上げて次のステップを考えたい。全校に1〜2クラスある特別支援学級への集中的な整備を次年度予算に盛り込めればと考えている。

ICTについては、長年にわたる活用により、その成果は上がってきている。何年か後にはこのような力が子供達に身に付くようにしたい、そのためにはどのような授業が必要なのか。どのようにICTを活用していけば良いのかについて選択できる力が教員に求められているが、越前市の教員はそれに応えてくれていると感じている。

「読書の町」宣言

本市では昨年5月から「読書の町」宣言をしており、朝読や家読(うちどく=家庭での読書)、地域読(まちどく=地域での読書活動)など読書活動にも力を入れている。成果はすぐに現われ、全国学力学習状況調査では「本が好き」な児童生徒が増えた。

また、子供達に夢を持つきっかけを提供できればと考え、日本サッカー協会の支援による「夢の教室」を開始。今年で5年目を迎える。トップアスリートの持つ輝きに間近に触れ、スポーツなどで交流、話を聞くことができる2時間程度のプログラムだ。将来に向けて前向きな夢を描くことのできる貴重な機会として定着している。

夢を持つこと、読書によって広く深い知力を鍛えること、ICTを活用して新しい学びに備えることを3本柱に、今後も取り組んでいきたい。

【2014年11月3日】

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