教育委員会対象セミナー・京都 ICT機器の整備計画/校務の情報化

私立公立高等学校IT活用セミナーを7月25日東京で、第32回教育委員会対象セミナーを7月28日に京都を開催した。教育におけるICT機器の整備と活用促進に向けて、整備計画や好事例となる発表がされた。次回は10月28日に第34回教育委員会対象セミナーを新梅田研修センターで開催する。
今年度のセミナー日程は教育家庭新聞Web(www.kknews.co.jp)へ

中等教育でSNS活用 学びのメタ認知を実現 奈良女子大学附属中等教育学校・二田貴広教諭

「目標創出型」A・L目指す

奈良女子大学附属中等教育学校・二田貴広教
奈良女子大学附属
中等教育学校
二田貴広教

奈良女子大学附属中等教育学校の二田貴広教諭は、中学校で教育SNS「ednity(エドニティ)」を活用した活動を行い、深い学びと対話的に導く事例を報告した。

教育SNSを活用することで「正解到達型」ではなく、到達後の次のゴールを探せる「目標創出型」のアクティブラーニング(A・L)だ。これにより21世紀型能力の1つ「社会スキル」の獲得を目指した。SNSでは、クラス全員の投稿(意見や分析)一覧、生徒や教員からクラス全員へ各種データを速やかに提示、他者の意見を引用、明示して持論の展開が可能、という特性がある。これにより、複数の立場からの異なる価値判断や大量の意見を読み取って自他の意見を整理し、自ら、またはグループの意見を構築する態度と能力、すなわち「社会スキル」を獲得する。

個別問いかけ型が効果

SNS利用では、教員の働きかけが学習の質に直結する。SNSに課題を提示して投稿は生徒にまかせて見守る「課題提示+自由投稿型」、課題を解く「切り口」となる質問や次の展開を促すような質問を全体へする「課題提示+全体問いかけ型」、同様の質問を個人にする「課題提示+個別問いかけ型」を実施したところ、「課題提示+個別問いかけ型」で、学習の認知過程で深い認識が生まれ、生徒個人の思考と深い学びが実現した。生徒個人への問いが自己との「対話的な学び」へ、他の生徒と教員とのやり取りを参照することが他者との「対話的な学び」へと、導かれた。さらに、生徒の意見交流では新たな疑問を提出するという、目的創出型への萌芽が認められた。

学習活動でのSNS利用では、投稿内容が学習課題から逸れていく、SNS慣れした一部の生徒だけが書き込み、他の生徒が傍観者となりがち、という課題が生じる。しかし、二田教諭は、@課題について「自分の分析と意見のみ」を投稿することを複数回続ける、A他の生徒の「よいところ」や「自分にはない知見や観点」を引用し、根拠を示しつつ投稿することを複数回続けることで解決した。

中学生がSNSで小学生にアドバイス

SNSを活用して、中学生4名程度のチームで小学生の作品についてアドバイスをするPBLも行った。
目的は、@自分のふるまいの可視化とその結果の可視化、Aチームビルディングの実体験、の2つ。

チームのために分析・提案・ミッション遂行・言語化するというチームビルディングの体験とともに、振り返り、評価と言語化を繰り返して学びを深めた。

小学生の成長に貢献するアドバイスはどんなものか、どうすれば小学生がアドバイスを受け入れ成長できるのかを考えて小学生と意見交換をする中で、課題への理解が深まる様子が観察された。

また、年下の小学生とかかわり、小学生の特徴を知り、そのうえで自分達が小学生の時と比べてどう成長したのか、どんな力が伸びているのかということを理解するというメタ認知にもつながったと報告した。

【講師】奈良女子大学附属中等教育学校・二田貴広教諭

 

【第32回教育委員会対象セミナー・京都:2016年7月28日

【2016年9月5日】

1、京都教育大学・谷口和成准教授2、郡山市教育委員会・渡辺哲雄指導主事
3、姫路市教育委員会・柳井克文係長4、立命館守山中学・高等学校 犬飼龍馬教諭
5、京都市立梅小路小学校・吉井優太郎教諭 /6、奈良女子大学附属中等教育学校・二田貴広教諭

 

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