私立公立高等学校IT活用セミナー・東京 ICT機器の整備計画/校務の情報化

学習環境のデザインで生徒の取り組みが変わる 和光中学高等学校・小池則行教諭

9割の生徒が授業を高評価

和光中学高等学校  小池則行教諭
和光中学高等学
小池則行教諭

和光中学高等学校は平成10年から独自システムWAKO―NETを構築しており、これをクラウド化することによって活用が進んだ。小池教諭は「生徒は大人が想像もしないほどにテクノロジーに馴染んでいる。その力をうまく活かすような学習スタイルを導入すべき」と述べる。

椅子や机も吟味する

同校では、学びの場≠フ再構築の際にICT機器の整備内容や管理コストなど全般的に見直しを図った。

まず、PC室・視聴覚室・マルチメディア室の3教室のリデザインに着手。PC室では手元を広くし、教科書やノートを開いてPCを使えるようにした。残りの2教室ではワイヤレスでPCを使えるようにした。

視聴覚室の椅子は、グループワークへの移行をスムーズにできるようにデザインされている「ノード」チェアを採用。アクティブ・ラーニングを展開しやすい環境とした。

2人で1台のPCを使っていたマルチメディア室は、自由にレイアウトを変えられ、フリーアドレスで使いやすい教室環境とした。

管理コスト、ネットワークスピード、マルチデバイス化も推進した。ネットワークを「クラウド」へと移行してGoogle Apps for Education(GAFE)も導入。現在、「情報」の授業でフル活用している。

GAFEは、平成20年から教員が利用していたが、平成23年からは高校生全員にGAGEアカウントを配布、利用している。高校生のほとんどはスマートフォンを持ち、SNSを利用している。「情報」の授業では、4月上旬にGoogleフォームによる情報機器の実態アンケートを実施。それをもとにグループディスカッションをして、生徒自身が「見える化」された自分たちの利用実態データから、自分たちの利用状況を振り返り、課題発見および改善の意識を育てることにしている。

LMS(Learning Management System)であるGoogle Classroomは、課題の提示・回収・採点がオンライン上で一元管理できる。生徒が課題を実行・提出すると、教員はオンライン上で採点。一度提出されたものは、返却されるまで変更できない仕組みになっており、締め切りも設定できる。

「問題」という機能を使うと、生徒は、自分の意見を書き込んだ後に、他の生徒の意見を閲覧できる。他者の意見を読んだ後に3人以上にコメントさせ、オンラインでディスカッションを行わせたりする。小池教諭は「時事問題などをスポットで入れるときには、非常に手軽に行うことができ、生徒も非常に集中して取り組む」と語る。

オンラインでミニテスト

ミニテストもGoogleフォームを活用してオンラインで完結。回答すると採点結果が自動的に生徒のGmailアドレスに送られる仕組みとなっている。同校では、これを用いて定期的にミニテストを行っている。
生徒達には自宅PCだけでなく、タブレット、スマホなどのタッチデバイスで課題を行うことも許可している。小池教諭は「課題にきちんと取り組むために自分のやりやすい環境でやることも認めるべき」と、その理由を語る。この9月には、「情報」の授業で防災をテーマに行う予定だ。災害マップを見ながら、自分の住んでいる地域をリサーチし、「もし災害に遭い歩いて帰るしかなかったとしたらどうするか?」のシミュレーションを行う。「クラウド化されたことで、生徒が協働してひとつの課題に取り組みやすくなった。グループでディスカッションをしながら、ひとつのものをつくる雰囲気も生まれ、前のめりになって課題に取り組んでいる」と語る。

1年生の最後にはドキュメンタリーをグループで共有して、クラウド上で1つの作品を制作した。授業評価アンケートでは高校1年生の9割が高く評価している。「生徒にとっても学びやすく、能動的に授業に参加できる環境が構築された。学ぶ環境を見直すポイントは『ICT』、『教室空間』、『使うサービス』の3つ。学習者である生徒の主体的かつ協働的な活動を刺激し、促進する」と語った。

【講師】和光中学高等学校 小池則行教諭 

 

【私立公立高等学校IT活用セミナー・東京:2016年7月25日】

【2016年9月5日】

1、神奈川県立横須賀大津高等学校・島武彦総括教諭2、桜丘中学・高等学校 本田和義教諭
3、豊島岡女子学園中学校・高等学校 中嶋淳教諭4、東京都立町田高等学校・小原格指導教諭
5、和光中学高等学校・小池則行教諭

 

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