特集:次期学習指導要領と教育の情報化

教育の情報化加速化プランを策定<文科省>

7月29日、文部科学大臣は「教育の情報化加速化プラン〜ICTを活用した『次世代の学校・地域』の創生〜」を策定した。文部科学省では「次世代の学校・地域」を創生し、教育の強靭化を必ず実現する考えだ。未来社会を見据えて育成すべき資質・能力を育むための新たな「学び」や、それを実現していくための「学びの場」形成のためにICTを効果的に活用する。本年7月にとりまとめられた「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」における議論を反映させて平成28年度から32年度までのおおむね5年間の行動計画を示す。

ICT環境整備目標・ICT教材整備指針策定
教育版情報セキュリティーポリシー ガイドライン策定
新「教育の情報化に関する手引き」策定・情報化主任設置

「次世代の学校・地域」のICT活用のビジョンを提示

教育情報化加速化プラン(工程表)
工程表
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▼第3期教育振興基本計画に向けた「ICT環境整備目標」を検討。電子黒板、テレビ、プロジェクター等、大型提示装置の普通教室常設化を加速。▼高等学校において、個人用情報端末の学校利用や保護者負担についての課題を整理。端末価格の引き下げ策も講じる。▼教育ICT教材整備指針(仮称)を策定。学校のICT環境整備を促進する。▼ICT活用の効果測定を実施。実践例・モデルを構築して多面的な効果測定を推進する。

授業・学習面でのICT活用を促進

▼次期学習指導要領を見据えた「教育の情報化に関する手引き」を、平成30年度内を目途に策定。あらゆる学習場面における活用事例を構築・整理する。▼官民連携コンソーシアムを構築する。デジタル教材の開発体制や指導の際のサポート体制等を総務省・経済産業省と連携して平成29年度より構築を目指す。▼授業等でのICT活用モデルに対応した機器・ネットワーク・システム等の推奨仕様や標準化を推進する。教育ICT教材整備指針(仮称)とも連携してICT機器等の調達における標準仕様(ガイドライン)を、平成29年度内を目途に検討、作成。▼特別支援教育でのICT活用促進のため、平成28年度より使用しやすい教材や支援機器の研究開発を支援する。「特別支援教育教材ポータルサイト」を充実・普及。ICT活用に関する教員の専門的知識の充実を図る。▼情報モラル教育に関する研修の充実を図る。関係省庁とも連携して保護者等の理解啓発を推進する。▼情報等の分野で特に突出した能力や意欲を有する全国の小中学生に対して特別な教育の機会を設ける。平成29年度より実施。

校務面でのICT活用

▼統合型校務支援システムを普及促進する。システム化すべき校務を定義して校務に関する文書等の電子化・標準化の考え方を整理する。複数自治体における統合型校務支援システムの導入・運用方法を整理する。▼教育情報セキュリティをただちに徹底する。教育版の情報セキュリティポリシーのガイドラインの策定を検討するため、教育委員会・学校の情報セキュリティ対策を助言する「教育情報セキュリティ対策推進チーム」(仮称)を創設する。▼総務省「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を参照しつつ、学校の特性を踏まえて「教育版情報セキュリティポリシーのガイドライン」を平成28年度内を目途に策定する。

授業・学習面と校務両面でのICT活用

情報セキュリティ対策を大前提として授業・学習面と校務面でのICT活用を連携。よりきめ細かい指導やデータに基づく学級・学校経営等を実現するため、実証研究「スマートスクール」(仮称)を、平成29年度より実施・検討。検討の観点は以下。▽学習者視点、指導者視点に基づくデータ活用法▽テレワークを含む家庭・地域等連携▽個人情報を含む学習記録データの取り扱い▽情報セキュリティを含むシステム要件

教員の指導力向上と地方公共団体・学校の推進体制

各学校で教育の情報化が着実に進むよう、民間企業とも連携しつつ、教員養成課程及び研修を充実。教育委員会事務局と学校の体制を強化。専門性向上を図る。

▼教員のICT活用指導力向上のための養成・採用・研修の一体改革のための制度改正を、平成28年度内を目途に対応。▼教職課程を置く大学と連携して、ICT活用をリードする教員対象の研修を充実。高等学校の教員対象に研修教材を策定・提供。平成29年度より実施。▼教職課程認定においてICT活用(機器・教材)を含む授業科目で活用できる施設・設備を確認。▼情報セキュリティを含めた教育の情報化について、独立行政法人教員研修センターの研修を充実。▼次期学習指導要領を見据え、ICT活用指導力調査の内容を見直し。▼全国ICT教育首長協議会や教職課程を置く大学と連携して産学官連携による教育委員会応援プラットフォーム(仮称)を構築。指導法、活用法、調達の在り方等情報を提供する。▼教育委員会事務局の体制強化・専門性を向上。教育の情報化について責任を持つ部局の設置等が進むように働きかける。▼教育委員会と首長部局の連携を強化。総合教育会議や大綱等で教育の情報化が適切に扱われるように働きかける。▼教育情報化主任(仮称)を法令上明確化を速やかに検討。学校内に、教育の情報化を進める教員の設置を促す。▼ICT支援員の役割・機能・業務の明確化を図る。

ICTによる学校・地域連携

▼「ICT教育全国首長サミット」の開催を支援。▼地域未来塾でのICT活用促進のための「官民協働学習支援プラットフォーム」の活用を促進。教育課程外のICT機器等の活用を促進する。▼無線LAN環境を整備して地域の防災拠点としての学校機能を強化する。

 

【2016年10月3日】

 

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