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連載 教室に電子黒板がやってきた!

教室に電子黒板がやってきた!(3)
小学校英語の教育実践
生きた素材の活用に最適

林 敬泰氏 三重県松阪市米ノ庄小学校教諭
早稲田大学IT教育 研究所客員研究員

チャンツ
画面を見ながらチャンツに取り組む

 大中規模校において、「学校に電子黒板1台だけでは何もできない」と感じている方がいるが、実は工夫次第でいくらでもデジタル教科書や電子黒板ソフトは活用できる。最近の大型テレビはPC入力端子があるため、ノートPCをVGAケーブル(千円弱)でテレビとつなげば簡易電子黒板となる。画面タッチ機能はないものの、PCとマウスだけで電子黒板ソフトは十分に活用できる。

 電子黒板の魅力は、大画面で即座に見せたい教材情報を子どもに提示できる点だ。先日5年生の総合学習で「日本人は調査捕鯨をすべきか否か?」をテーマに子ども達にディベートをさせた。ユーチューブの無料動画で環境団体シーシェパードの抗議活動と映画「ザ・コーヴ」の予告編を見せたところ、多くの子ども達は日本の問題として本気で捕鯨について考え悩み、討論は大いに盛り上がった。教科書だけでは学ぶことができない、現実世界と子ども達を結ぶ貴重な学びになった。

 今回は文科省から各校配布済みの英語ノート電子黒板用デジタル教材を活用し、英語ノート2のL6「I want to go to Italy & Let's Enjoy」を指導した授業内容を報告したい。

  まず授業導入で、L6のレッツチャンツを選択し、リズムと絵に合わせて子どもと共に「I want to eat Pizza in Italy! I want to see Soccer in Italy! 」と歌い踊った(もちろん実物のサッカーボールも持参した)。チャンツは耳・口・体を使って言語を体得するTPR指導法の一つであり、子ども達を自然に英語の世界にいざなう最適の教材だ。L6の世界の国旗当てクイズも興味深い。授業後半のLet's Enjoy(世界遺産を知ろう)では、電子黒板でインターネットのグーグルアース(Google Earth)からバチカン市国・エアーズロック・万里の長城等の世界遺産の上空写真を見せ、クイズ形式の質問” It's near France. You can eat Spagetti. Where is it?”をした。グーグルアースは衛星写真をつなぎ合わせた実写地球儀で、ライヴの天候(雨雲の形) や観光情報まで表示される。学校の運動場を初期画面に登録しておき、学校上空から世界の観光地まで鳥瞰的視点で飛ぶことができるので、子ども達は驚愕し、学習モチベーションも大いに高まった。

  電子黒板は決して真新しいものではなく、今まで開発されてきた価値の高い教育用ソフトとハードの延長的なものである。新学習指導要領に対応した電子黒板用デジタル教科書ソフトが今後、教科書会社から相次いで発売されることもあり、現場での利活用には大いに期待していきたい。

(1) まずは視感に訴える
(2) iPadの教育実践
(3) 小学校英語の教育実践
(4) デジタル版「英語ノート」
(5)デジタル教科書 iPadの教育実践
(6)「伝えたい」情熱が情報発信力を育む


【2010年8月7日号】


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