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連載 教室に電子黒板がやってきた!

教室に電子黒板がやってきた!(6) 最終回
「伝えたい」情熱が情報発信力を育む

林 敬泰氏 三重県松阪市米ノ庄小学校教諭
早稲田大学IT教育 研究所客員研究員

電子黒板

  「伝えたい」情熱が情報発信力を育む

「学び」というものは、子ども達の興味関心を持つ体験や活動にかかわる中で自然に起こるものであり、子どもの興味関心のある事にじっくり取り組ませる必要がある。

  5年生の社会科では自動車産業を扱っており、今回の社会科見学では地元の本田技研鈴鹿製作所を見学した。
工場内では無人作業車が演歌をかけて移動している。実際に目の前で産業ロボットが車体にタイヤやシート、フロントガラスを次々に取り付けていく様子まで見ることができ、子ども達は大変感動した様子であった。見学後の授業で子ども達は、自動車産業で学んだ中でさらに各自興味のある分野とテーマを掘り下げて調べ、インターネットも活用し最終的に手書きのレポートにまとめ、クラスで発表会をした。

  今回の発表方法は、あえてパワーポイント・プレゼンを使わず、しっかりまとめた手書きレポートを電子黒板付属の書画カメラに映す方法でプレゼンテーションをさせた。個性的なプレゼンが多く、子ども達はお互いに刺激し合い、大いに学ぶことができた。

  指導上の留意点は、テーマや柱を明確にし、筋立てを考え発表内容の提示順序を明確にすることと、概念図や数字を含むデータ等は図や表グラフといった視覚的に表すことの2点である。

  プレゼンテーションの語源はプレゼントであり、「知識や情報を相手に贈る」という意味がある。プレゼンにおいて聞き手を引き込むためには、聞き手が何を知りたい、何を学びたいのかを的確に把握し、聞き手が聞きたいと思う内容を伝えることが重要である。また、話し手が心から「ぜひ話したい」と思うような内容が必要になる。人の思いを込めた「ことば」は、相手の心に伝わるものである。「これを伝えたい!」という情熱があって初めて、プレゼンテーションは魅力的なものとなる。

  また、文化祭(米ノ庄まつり)で5年生は、仲間づくりのビデオ劇を発表した。

  各班にiPadとiPadで使える動画編集ソフト(ReelDirector)があれば、スキット(寸劇)発表のようなプレゼンテーションの課題選びから制作活動・発表までのプロセスを子ども達に体験させることができる。そこで、HDビデオカメラ(SANYOザクティ)と動画編集ソフトを活用し、パワーポイントを作るような感覚で簡単に動画を編集し発表することができた。
情報を集めて加工編集し、発信し伝えるプロセスを体感させることは、子ども達の主体的・探究的な学習を促す「学び」につながると考えている。

(1) まずは視感に訴える
(2) iPadの教育実践
(3) 小学校英語の教育実践
(4) デジタル版「英語ノート」
(5)デジタル教科書 iPadの教育実践
(6)「伝えたい」情熱が情報発信力を育む

【2011年1月1日号】


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