新連載

スマホ時代到来(1) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

子どもとスマホの「今」

■携帯ショップで

子どもとスマホ 「お母さん、スマホ買って。ラインがないと友達とうまくやっていけないから……」

  「スマホなら無料通話使えるから、結局安いってみんな言ってる」

  「あ、フィルタリングはやめて。LINE、使えなかったら意味ない」

  これらは先日、私が携帯電話ショップにいたときに私の近くで交わされた母娘の会話である。

  子どもたちは異口同音にスマホの必要性を説き、母親は「そこまでいうなら買おうか」とほぼ、すべてがスマホを購入していった。

■危ない設定

  しかも聞いていると全員がパケ放題(パケット定額)で、フィルタリングを設定していない。

  先日、訪れた小学校4年生のクラスでは女子の過半数がスマホを持ち、全員でLINEを毎晩していた。

  スマホでLINEをすると、リアルタイムで言葉が画面に現れる。そこにかわいいスタンプが押されたりして、会話が盛り上がる。

  リアルタイムなだけに、いつ自分が登場するかわからないし、常に見ていないと話題がすぐに変わってしまう。食事中はもちろん、風呂でもずっと見ているという。

■スマホを常に

  テレビ観ながらでも横目で常に確認。もちろん、勉強中も。たいていの場合、布団の中でもずっと会話が続く。彼らに自分の時間はない。あるのは、「うちらの時間」。

  何時間触っていても、どれだけ動画を見ても同料金。親は使いすぎをチェックするすべがない。フィルタリングを設定するとそのままではLINEを見ることができないので、彼らは誰からも守られない大海原に一人で漕ぎ出している。非常に危険である。

  左のグラフは、私が昨年11月に大阪の小中学生2592人に取ったアンケートの集計結果である。

  一目見て一目瞭然だが、スマホ使用者は、睡眠時間が少なく、イライラしている。スマホが原因だとは言い切れないがスマホ使用者に何かが起こっているのは疑いようのない事実だろう。

  では一体、何がおこっているのだろうか。

■連載について

  これからしばらく、スマホと子どもたちについて連載する。

  筆者は、元中学校教員(途中小学校兼務)で、現在は教職を目指す学生を教える立場。総務省や文科省でスマホ関連の委員を務める傍ら、中高生徒会とスマホ問題を話し合ったり、インタビューやアンケート調査を頻繁に実施したりしている。

  そこから見える子どもたちの今、スマホという入り口から見える子どもたちの姿を伝えたい。

  日々状況は変化している。読者の声も反映していきたいと考えている。情報、感想を期待している。(kks@kknews.co.jp

【2013年6月3日号】

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