連載

スマホ時代到来(17) 〜今、大人が知っておきたいこと〜兵庫県立大学 准教授 竹内和雄

今年の姫路の高校生(2)

姫路飾西高校生徒会
受験生のためのスマホ三ヶ条
姫路飾西高校生徒会
生徒会のメンバー

今年の姫路飾西高校生徒会の2つの取り組みを紹介する。

■使用ガイドライン

昨年、姫路飾西高校の生徒会は、近辺の高校生1988人にアンケートを行い、高校生とスマホについて問題提起した。

今年、後輩達も新項目を加え実施。詳細を検討し、自分たちで「スマホ使用ガイドライン」を作成する。12月16日、同校で開かれる兵庫県教員対象の報告会で、高校生自身が発表することになっている。

■受験生スマホ三ヶ条

さらに今年の生徒会は、オープンハイスクールに来た中学生に「受験生とスマホ」をテーマに話をした。写真は当日、中学生に「合格のため守りましょう」と手渡した「受験生のためのスマホ三ヶ条」だ。

一、夜9時まで。ただし寝る前10分可。

三ヶ条策定までの議論では、「勉強優先、早く切り上げ派」と「制限はストレスがたまり逆効果派」で激論だったが、最後は見事な折衷案になった。

「9時まで」に制限するが、そのままでは気になって仕方がない。そこで「寝る前に10分可」。確認する時間を取るので、ストレスがたまらない。これなら「飾西高校に合格したければ守れるはずだ」という。時間の確保は必要。

からといって過度な制限だけでは実効性がない。なるほど。

二、勉強する環境に置かない

最初は「勉強机に置かない」であったが、「勉強は居間ですることもあるし、布団で単語の暗記をすることもある」からと「勉強する環境」に変更。なるほど。

三、送信前に立ち止まる

「スマホでトラブル多発」「ストレス多い受験生は特に」「送信前に立ち止まり、考えるのが大事」という。なるほど。

■答えは彼らが知っている

まさに、血の通ったルールである。このあたりの微妙なニュアンスは当事者の彼ら自身にしか分らない。実は、研究室の大学生と候補を考えていたが、必要がなかった。もしも議論の前に提示していれば、我々の愚かな候補に引っ張られ、実効性のないものになっていたところだ。

高校生に「巻物風で、受験生が勉強部屋に貼りたくなるようなものにしてください」と託された大学生たちは、飾西高校のユルキャラ「たか丸君」と奮闘しながら、夏の一週間を朝から晩までゼミ室で過ごして、スマホ三ヶ条の巻物を作成したのだった。

【2014年10月6日】

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