新連載

第1回 全国ICT支援員探訪<宮崎県立宮崎大宮高校>

セカンドライフはlCT支援 退職教員の強みを活かす

 宮崎県内で有数の進学校であり創立125年の伝統を誇る宮崎県立宮崎大宮高等学校(生徒数 1293名 教職員数 98名)で、平成25年10月から「ICT支援員」が活動を始めた。同校PTAが「NPO法人みやざき教育支援協議会」に委託、ICT支援員を2名配置している。「定年退職された教職員が立上げたNPO法人がICT支援員業務委託を請ける」という全国的にも珍しい仕組みだ。

宮崎県立宮崎大宮高校
理科室の電子黒板活用を支援する亀澤さん(右)

  現在同校にICT支援員として勤務するのは、元宮崎大宮高校事務職員の亀澤克憲氏と元宮崎東高校物理科教員の武石秀男氏。定年退職後にNPOに所属、宮崎大宮高校のICT環境や学校の状況に精通している2人は10月からICT支援員としての活動を始めた。

  これまで情報担当教員に集中していた業務を2人のICT支援員が担当。校内のICT機器やシステムの設定やトラブル対応、活用アドバイスなどに奔走する日々。

  元教職員であるため、学校の状況や文化を理解しているメリットは大きい。授業支援から校内LANの障害原因の1次切り分けまで、支援の場は多岐にわたる。

  同校1年生の全普通教室には壁掛けプロジェクターが常設。授業での活用が進むに連れ、活用方法の相談も増えた。

  今の課題は、教職員の研修機会の確保だ。元教職員だからこそ、教員の多忙な状況がよく理解でき、できる限り教員の負担を増やさないように心がけている。一方、細部まで支援してしまうためにスキルアップの機会を奪っているのではと自問もある。

  ICT支援員が年長者であることから、若い教員が支援依頼を遠慮しているケースも見られ、校内を巡回する時は、細やかな声かけを欠かさないようにし、依頼しやすい雰囲気を大切にしたいという。

  亀澤氏は「校内でのICT支援員の認知はまだまだこれから。気軽に依頼してもらいICT活用をさらに発展させて欲しい。また、ICT環境整備には予算が必要となるが、元事務職員の経験を活かして、少ない予算でもより良い環境になるようにサポートしたい」と話す。

  退職してなお、元勤務校や学校現場に貢献したいと活動する2人の笑顔が印象に残った。

  学校現場を熟知した退職教職員の活躍の場を創出した好事例として、他の地域に広がって行くことを期待したい。

▼配置先 宮崎県立宮崎大宮高等学校▼配置方法 NPO法人への業務委託(配置人数:2名)▼ICT環境 壁掛けプロジェクター(普通教室、特別教室)、電子黒板、校務用PC、教育用ノートPC、校務用/教育用校内LAN、教育用無線LAN、グループウェア、図書管理システム、校内Webカメラほか

【2014年3月3日号】

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