ノルウェー塩さばで食育 ―漁業・沿岸問題副大臣が小学生と調理実習

 先日、ノルウェー王国の漁業・沿岸問題副大臣のクリスティーネ・グラムスタ氏が来日しており、5月11日には都内の文京区立小日向台町小学校(小川深雪校長)を訪問。ノルウェー産の塩さばを使った調理実習に参加し、子どもたちは魚食普及やノルウェーと日本の水産資源について考える機会となった。

ノルウェー塩さば

児童と会食するグラムスタ副大臣
(左から2番目)

  学校に到着したグラムスタ副大臣は、3年生からノルウェーの国旗で盛大に出迎えられ、その後、6年生とともにノルウェーの水産業について学習した。

  今回の授業は、ノルウェー水産物資審議会と、子どもたちに日本全国の浜のお母さんたちと魚食の大切さを伝え続けるウーマンズフォーラム魚が企画したもの。

  日本とノルウェーの修好は今年で107年。そこで、今年開校108年を迎える同校の小川校長が手を挙げ、国際理解教育と食育を結びつけて6年生に学習してほしいと願って、授業が実現した。

輸入さばの約90% ノルウェーから

  グラムスタ副大臣は、ノルウェーと日本は国土面積がほとんど同じであること、しかし人口は圧倒的に日本が多いこと、ノルウェーは海岸線が長い水産大国であり、天然の魚だけではなく養殖にも力をいれていること、日本に輸入されているさばの約90%がノルウェー産であることなどを児童に紹介していった。

  この日の調理実習は、「ノルウェー塩さばのトマトソース〜パスタ添え」と「ノルウェー塩さばのポン酢バターソース」の2品を調理。

  児童から「塩さばのおいしさを何歳の頃に知りましたか」と問われたグラムスタ副大臣は、「ノルウェーでは塩さばを食べる習慣がないので初めてです。とても楽しみ」と答え、児童は驚きの表情を見せる。

  調理実習中は、グラムスタ副大臣から積極的に交流し、児童も質問をしながら楽しい時間を過ごした。グラムスタ副大臣によると、水産大国であるノルウェーだが、子どもの魚離れは深刻な問題であり、国をあげて幼稚園から魚を学びおいしく食べるプログラムを確立しているという。

  児童と会食したグラムスタ副大臣は、「このおいしい食べ方を帰国後に料理して、塩さばのおいしさをノルウェーの人にも伝えたいです」と、交流を終えた。

  小川校長は「アンケートをとると家庭で魚を食べる回数は減っており、お魚マイスターを呼んでPTAに研修会を行なったりもしています。今回は、食育としてさばの勉強にもなりましたし、国際理解教育としてはノルウェーについて事前に学習しており、自発的な課題解決になったようです。通訳の方、大使館の方、副大臣と様々な方に出会い、そういった仕事にも興味を持ってくれたことでしょう」と、授業の成果を語る。

 

【2012年5月21日号】

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