学校図書館担当職員の配置拡充・支援強化をーH25年度文科省会議まとめ

 言語活動や探究的な学習の充実、豊かな人間性の形成を図るために、「読書センター」「学習センター」「情報センター」として学校図書館を整備し利活用していく必要がある。そのためには司書教諭のみならず、学校図書館担当職員が司書教諭と連携しながら活動に取り組むことが有効だ。今後「学校図書館担当職員」の配置拡充を推進するに当たり、昨年8月に「学校図書館担当職員の役割及びその資質の向上に関する調査研究協力者会議」(座長堀川照代・青山学院女子短期大学教授)が設置され、先月末に報告書が出された。

 同会議には、大学教授の他、教育長、指導主事、学校長、司書教諭、学校図書館担当職員など様々な立場の委員が参加し、「学校図書館担当職員の担うべき役割・業務について」「学校図書館担当職員の質の確保を図るための方策について」等について議論がなされた。

間接・直接的な支援と教育指導への支援を

 学校図書館担当職員については、平成24年度からその配置に係る地方財政措置が講じられており、各地方公共団体の財政状況が厳しい中でも学校図書館担当職員の配置を進め(24年度までの5年間で小学校35・7%→47・8%、中学校37・1%→48・2%)、その必要性は一層認識されている。

 学校図書館担当職員は、学校図書館が「読書センター機能」「学習センター機能」「情報センター機能」の役割を果たしていくために、「間接的な支援」や「直接的な支援」に加え、「教育指導への支援」に関する職務を担い、学校図書館の活性化に資することを目的にするものと捉える必要がある。

■間接的支援…図書館資料の管理、施設・設備の整備、学校図書館の運営
■直接的支援…館内閲覧、館外貸出、ガイダンス、情報サービス、読書推進活動
■教育指導への支援…教科等の指導に関する支援、特別活動の指導に関する支援、情報活用能力の育成に関する支援

  そして、これらの役割・職務を担っていくためには学校図書館の「運営・管理」と児童生徒に対する「教育」との両面にわたる知識・技能を習得することが求められる。

  「運営・管理」については、学校における学校図書館の意義に関すること、図書館資料の選択・組織化及びコレクション形成・管理に関すること、著作権や個人情報等の関係法令に関することなどだ。「教育」に携わるためには、児童生徒の発達に関すること、学習指導要領に基づく各教科等における教育内容等に関すること、校務や学校における諸活動に関することなどの知識・技能が求められる。

市町村教委の研修は 合同開催も視野に

  そこで、同会議ではこれら知識・技能の習得には学校での日常的な取り組みのみならず、行政をあげて学校図書館担当職員等を対象とした体系的な研修の実施、支援するための体制構築、役割・職務の周知等を進めていくことが必要不可欠とした。

  人数的な問題で研修の実施が困難な地域は、単独ではなく複数の市町村教育委員が合同・協力して実施するなど、研修方法・体制の工夫も期待される。

  また、教委のみならず、各学校の日常的な取り組みにおいて、学校教職員による支援体制の確立や、校内研修の中で一部分の講師を担当させたり、近隣校と連携し教材研究の成果等を共有することで、近隣校を含めた地域の学校図書館機能の底上げにもつながっていくとした。

【2014年4月21日号】

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