持久力・走力が向上<50年推移>東京五輪へ向け取組強化―体力・運動能力調査

「ボール投げ」50年で6m減

前回の東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、五輪)が開催された昭和39年度から、文部科学省は「体力・運動能力調査」を実施している。10月12日に公表された平成25年度調査は、50回目の実施となった。そこで国民の体力・運動能力の推移(昭和39年〜平成25年度)についても報告した。それによると、50m走及び握力は高校生女子の握力を除き昭和39年度を上回り、持久走も中学生男女及び高校生女子が上回った。一方でボール投げは中学生男子を除き、開始当時を下回る。

三世代間ではH元年の50m走が男女共に1位

昭和39年、平成元年、平成25年の三世代間における10歳時の比較を見ると、50m走は男女共に平成元年が最も高い値を示しており、男子が9・20秒で、昭和39年では9・28秒、平成25年9・26秒だ。

同様に女子は平成元年が9・41秒であるのに対し、昭和39年は9・57秒、平成25年は9・55秒だ。

中学生男子を除き昭和39年より低下しているボール投げは、同じく10歳時の比較を見ると、男子が昭和39年30・38m、平成元年28・37m、平成25年24・45mと約6m低下したことがわかる。

女子は平成元年で持ち直し、25年は昭和39年より0・76mの低下にとどまっている。

中高生男子の50m走 水準高いS60年上回る

また、昭和60年頃と平成25年度では中・高生男子の50m走が、体力水準が高かった昭和60年頃を上回った。

平成10年度より新体力テストに移行したが、この16年間の合計点を比較すると、25年度は13歳男子及び11歳女子が16年間中第2位となった。22年度には男子の11歳と16歳で1位、女子の16歳が1位となり、以降は好成績を維持している。

新体力テスト施行後からの推移をみると、男子の握力は11歳、13歳、16歳のどの年齢でも低下し、その他の項目については、向上または横ばいが多く、合計点では全ての年齢で向上している。

日本のオリンピックを軸に体力・運動能力を見ていくと、昭和39年に東京五輪、47年に札幌五輪を経過し60年頃までほとんどの項目で向上傾向にあり、昭和60年頃から平成10年までは横ばいまたは低下傾向、平成10年の長野五輪以降は、走力・持久力の向上傾向が見られる年代もある。

調査結果を踏まえ、文科省は2020年の東京五輪の開催を見据え、引き続きスポーツを行う機会の拡充と体力・運動能力向上のための取り組みを進めたいとする。

【2014年10月20日号】

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