連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 57回

新聞の書体(文字の字体やデザイン)を知ろうー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男ー

各新聞社が独自の形で工夫
字体・デザインの効果を考えよう

かつて新聞や雑誌などは、金属で作った文字を、一文字ずつ型にとって元版を作り印刷をしていたので、その印刷物を活版印刷、文字を活字と呼んでいました。現在はパソコンで「印刷のもと」となる文字を作っていますが、活版という言葉を使うことも多いです。

新聞にはたくさんの文字・数字・写真などが印刷されており、朝刊1部は新書1冊分に相当するといわれています。

紙面の中で1番大きな面積を占めているのが小さな文字、つまり「本文」です。この文字は全国紙5紙がほぼ同じで縦は約3ミリメートル、横は約3・8ミリメートルの扁平です。このような活字が作られたのは1941年頃です。なぜそうしたのでしょうか。

「なぜ」「どうして」を考えることが勉強では必要で、特に新聞学習ではこのことがとても大事です。この年に太平洋戦争が始まりました。私の考えは次回(58回)に書きます。

全国紙が皆同じなのは文字の大きさであって、文字の形は微妙に異なります。形やデザインはそれぞれの新聞社が独自のものを工夫しているので、文字の大きさは同じでも見比べると異なる印象を受けます。

自分でその違いを確かめてください。「や」「ら」「を」など、曲線だけからできていてよく使われ、人によって書き方が異なる文字を比べると違いがよく分かります。

文字の「書体」には名称が付けられ、漢字の楷書・行書・草書・篆書隷書、勘定流、ポップなどで、活字では明朝体・ゴシック体・宋朝体などがあります。

明朝体は和文書体の一つで、日本の活字としては1番早くに完成した書体で、縦線を太くし横線を細くしたもので、雑誌や新聞などで1番使われている書体です。活字を組んで新聞を作っていた時代では、本文はすべてこの明朝体でした。印刷機(輪転機)を回転させて刷るとき縦に力が余分にかかるため、横線を太くするとうまく印刷ができないので細くしたのです。

次に、ゴシック体ですが縦・横の線が一定している書体で力強さが出せるので見出しによく使われます。教科書体は楷書体の一つでペン書きの字をもとにした書体で、縦・横の太さが細く一定で、少し丸みがありやわらかな感じがします。

新聞の本文はこの教科書体とゴシック体のよさを取り入れ、扁平にしたようなものともいえます。新聞からさまざまな字体・デザインの文字を集めてみましょう。そして、どんな効果を生んでいるかも考えてみてはいかがでしょうか。

 

【2016年3月21日号】

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