<PTA特集インタビュー/インタビュー日本PTA全国協議会・寺本充会長>

求められる学校との"協働" 期待に応えられる活動へ

学習指導要領の改訂〜4年後の実施を見据えて

寺本充日本PTA全国協議会会長
公益社団法人
日本PTA全国協議会
寺本充会長

6月24日開催された定時総会で27年度に続いて会長に選出された寺本充・日本PTA全国協議会会長。2期目となる今年度は、昨年度の重点目標としたWebや調査等を通じた情報発信のさらなる強化と、「学校との関係が、連携から協働≠ヨ」とPTAへの期待が高まっていることを見据えた活動の充実を呼びかけていく方針だと語る。

■新指導要領先取りしてPTA活動を活性化

昨年12月の中央教育審議会答申では、これからの学校の在り方として「学校と地域はパートナーとして相互に連携・協働する必要がある」と記載されています。「学校と地域の連携」は従来から色々な場面で述べられてきましたが、今回の答申でパートナーとして協働≠フ関係にあると書き込まれたことは大きな変化だと感じています。

小学校で平成32年度に全面実施される新学習指導要領では、新しい時代に対応する学習内容だけでなく新たな指導方法の在り方についても盛り込まれ、その実現には学校や教員だけでなく外部や地域が一体となった「チーム学校」としての取組が求められます。

私たちPTAも、「チーム学校の一員」としての期待に沿える努力が必要でしょう。協働≠想定しながら、日ごろから学校と連携して活動することを提唱していきます。

昨年度は重点目標の一つに、Webや調査資料等の情報発信の強化を掲げて取り組み、成果をあげました。Webでは、掲載内容の充実とタイムリーな情報の発信ができるようになりアクセス数の向上がみられています。

■情報を発信すると共に新たな活動を

昨年は初めて、日本PTA全国協議会(以下、日P)は、幼稚園から高校までのPTA団体、各校長会、行政、学識経験者などの関係団体に呼び掛けて「広報に関する研究会」を設置しました。

日Pが行っている情報発信は、「日本PTA新聞」の発行、Webの運営、各種書籍の発刊などがありますが、「子供達のために」を主軸において、広報活動の改善点や各団体との連携方策などについて、意見交換を行っています。今後は研究会の具体的な成果が、新たな情報活動に発展することを期待しています。

■PTAならではの防災の書籍を出版

昨年度、単位PTAの活動に役立てて頂く資料として、「今すぐ役立つPTA応援マニュアル」、「PTA90事例 日本全国!PTA活動運営事例集」の2冊を発行しました。

さらに、一般の方にも読んでいただける災害関連の書籍の出版に取り組み、今年度中の発行を予定しています。今年も九州で熊本地震が発生し、被災された多くの方々が現在も不自由な生活を余儀なくされていますが、特に子供のメンタルについてのケアが大切です。私たちは災害とどう向き合ったらよいのか。PTAならではの視点で、他にない内容のものを出版したいと考えています。

東日本大震災だけでなく、発生から21年を経た阪神淡路大震災から昨年9月の台風18号による鬼怒川水害まで、当時の子供、親、教員それぞれの被災経験を、全国の会員が情報共有できるようにすることが目的です。

日Pが公益社団法人化してから今年で4年目。単位PTAが取り組んでいる一つひとつの「子供のため」の実践を、市や県のP連が応援し、各種団体や行政との連携協力した活動や様々な情報発信を通して支援する日Pの役割は変わりませんが、その活動をよりスピーディーにと心がけています。

■社教団体として大人も学習の場に

子供の貧困問題、自転車安全などにも継続して取り組んでいきます。昨年はいじめ対策に関する保護者の取組のパンフレット「いじめ対策に関する保護者向けハンドブック」を発行しました。さらに新バージョンの作成を検討したいと思います。

いじめとSNSを含むインターネット環境の関係が危惧されるため、「我が家のルールづくり」などで日Pは保護者の意識形成を呼びかけています。

さらに子供が加害者・被害者となる自転車事故を減らすための対応も継続して取り組んでいきます。まず大人が、きちんとした対応によってお手本となることが求められます。
公益の社会教育団体としての日Pは、大人の学習と活動の場でもあるといえます。

 

【2016年8月15日号】

 

>>キャリア教育の支援通じ子供に自己有用感を育む<全国高等学校PTA連合会・佐野元彦会長>

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