連載:学校保健〜養護教諭は校内外のコーディネーター

【第10回】品川区立戸越小学校(東京都) 小澤京子養護教諭

毎日継続する中で自分の目標見つける

小澤京子養護教諭

品川区立戸越小学校は昨年度「全国健康づくり推進学校表彰」(公財・日本学校保健会主催)を受けた健康教育の優良校だ。同校の小澤京子養護教諭は「健康増進と生活習慣、体力向上を柱に指導を実践している」と語る。

正しい姿勢を覚えて健康増進につなげる

同校では1年生と6年生の足形をとり「浮き指」のチェックを行っている。浮き指とは地面に指が接地できていない状態のこと。重心が踵寄りになり、猫背になりやすい。足形をとった際に写らない指は浮き指傾向と判定している。

浮き指対策も含め、背骨や骨盤の矯正を目標に児童が継続できる取組を、と考えた小澤養護教諭は独自で「姿勢体操」「バランスチェック」を考案。6年前から毎週4回、全校で実施しており、児童らも真剣に取り組んでいるという。

姿勢体操
朝会で姿勢体操をする児童

体操の動きは整形外科の医師の意見を参考にし、体操中に流す曲は音楽の担当教諭と相談して児童が安心できるものを選定。全教員で指導できるよう、教員間でも目的や指導方法を周知しながら取り組んできた。年度のはじめには1年生のクラスを回り、直接指導も行っている。

その結果、現在の6年生は1年時と比較して、男子が平均1本、女子が平均1・5本浮き指の本数が減少した。「継続して指導を行うことで足指の接地率が上昇し、姿勢保持につながっている」と語る小澤養護教諭。足形を保護者に返却し、浮き指傾向のある児童には家庭で指の押し返す力などをチェックすることも促している。「家庭での意識も高められるので、今後も継続していきたい」

授業や給食の前後にも正しい姿勢保持を身に付けさせるため「座る正座」の指導も行っている。イスに座った状態で足の裏を床につけ、腰を立て手のひらを上に向けるというもので、背骨を正しい位置に導く。

生活習慣を定着させ「振返り」できる子に

児童が自らの生活習慣を確認する「振り返り」の機会も重視している。長期休暇後は児童に就寝時間や給食の完食状況など1週間分の生活をチェックさせ、提出を促してきた。「他教員の理解もあり、提出率は高い。振り返ることで目標を立てる児童も見られるようになった」

月に1度、保健をテーマにした全校朝会では保健委員会の児童らと一緒に発表を行う。5月の朝会では「一十百千万の健康法」を取りあげ、「1日1回自分を褒める。10回笑う。100回深呼吸する。1000字書く。1万歩歩く」の実践を呼びかけた。「笑いも深呼吸も簡単なことだが、全てが健康に通じている」と説明し、朝会後に保健室の歩数計の貸し出しを開始。児童は楽しみながら実践している。「数字にこだわりすぎず、毎日出来たことを振り返ってほしい。自分のペースで取り組むことが重要」と語る。

 

【2017年6月19日号】

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