連載:親子で楽しむ日々の新聞活用 73回

コラムの形成に注目しようー全国新聞教育研究協議会顧問・鈴木 伸男ー

社会面コラムから読みはじめてレベルの高い文章に慣れる

コラムというと、「天声人語」(明治37年から継続)に代表される、第1面の本文の最下段に置かれた細長い記事を思い浮かべる人が多いでしょうが、最近は毎日・読売・産経新聞のように大きく掲載されるコラムも多く見られるようになりました。

コラムには、形式は違っても次のような共通の特徴があります。接続詞が極力避けられている、行替えがなく▼、◆などの記号で示されている、見出しがない、などです。読者が自分で接続詞を入れたり、起承転結を意識して段落を4つに分けたり、見出しを自由に考えるなど、たくさんの楽しみ方があります。

ところで、第1面のコラムばかりが注目されますが、社会面や夕刊にも同様の形式の記事があります。これもコラムと呼ぶことができ、第1面のコラムとは趣を異にしています。社会面コラムの内容は、どちらかというとニュース記事に近いものですが、当事者や関係者などのコメントを入れています。社会面の記事の中でもユニークな行事・催し、明るい出来事を扱っていることが多く、新聞記事の箸休め、口直しといったところでしょうか。犯罪、事故などの暗い記事だけでなく、明るい記事も伝えたいという新聞社の思いも感じられます。

また、社会面のコラムは第1面のコラムの半分程度の長さで、使用している漢字も固有名詞を除くと小学4年生までに学習するものが7割程度を占めています。第1面のコラムは、小学6年生でもなかなか読みこなせませんが、社会面のほうであれば、4年生の2学期以降なら掲載されている内容をある程度理解することができます。少しレベルの高い文章に挑戦することも学びにつながります。

1〜3年生でしたら、まず授業で学習した漢字を蛍光ペンで塗ったり、振り仮名を付けたりすると良いでしょう。さらに読んで分かったことを箇条書きにすると深い学びも期待できそうです。コラムには、ペット・小動物、スポーツ、食べ物がよく登場しますが、これらは小中学生の興味を惹きやすく、共通の話題として大人と共有することができます。小学生の学習には、このような記事を選んで活用するとよいでしょう。

かつては日経新聞を除くすべての全国紙の社会面にコラムがありましたが、現在全国紙で掲載されているのは毎日新聞の「雑記帳」、産経新聞の「チャイム」のみとなりました。一方、地方紙(ブロック紙)にはコラムが比較的多く掲載されています。全国紙だけでなく、地方紙のコラムにも目を通してみましょう。

 

【2017年10月16日号】

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