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佐世保事件で対策プログラム
新規に情報モラルサポート事業

命の大切さ等
 各種取り組み充実


 6月1日に長崎県佐世保市で小学校6年生の女子児童による同級生殺害事件発生後、省内に「児童生徒の問題行動に関するプロジェクトチーム」を設置し再発防止について検討してきた文部科学省は8月、1命を大切にする教育2学校で安心して学習できる環境づくり3情報社会の中でのモラルやマナーについての指導の在り方、を重点内容とし、学校、家庭、地域での対策を網羅した「児童生徒の問題行動対策重点プログラム(中間まとめ)」をまとめた。

 各対策を17年度予算概算要求に対応させている(カッコ内)。

 「命の大切さの指導の充実」では、道徳をはじめ教育課程全体を通じて、命の尊さや死の重さなどを積極的に取り上げる場や機会を増やし、「心のノート」を含め子どもの心に響く教材を開発し、命を大切にすることへの自覚を深める教育の在り方について実践研究するモデル事業を充実する(予算拡充)。

 また、望ましい人間関係を構築できるように、伝え合う力を高め、児童生徒が相互理解や望ましい人間関係作りを進めるためのモデル事業を新たに実施する(47か所)。さらに、「命の教育」を取り入れた体験活動に関する調査研究事業を実施する(予算拡充)。

 「学校で安心して学習できる環境づくり」では、複数の視点から子どもの変化に対応できる相談体制の整備、幼児期からの相談体制の充実、などを推進するとともに、新たに「生徒指導推進協力員(仮称)」を問題行動の多い小学校を中心に派遣し子どもの変化の早期発見に努める(小学校550校)。また、小学校で生徒指導を担当する教員については、校務分掌の見直しや担当授業時数の軽減などにより、生徒指導により専念できる体制づくりを推進する。

 さらに、生徒指導体制の改善や今後の生徒指導の在り方を提言として平成16年度中にまとめ、生徒指導資料集として全国に普及。また、小学校高学年から非行、犯罪の防止等を目的とした学習を推進するため、警察機関などと協力して非行防止教室を実施するためのプログラム事例集を平成16年度中に警察庁と共同して作成する。

 「情報社会の中でのモラルやマナーについての指導」では、学校、家庭、地域の各場面でその取り組みを進める。まず、学校では情報モラル等指導サポート事業を実施する。有識者等からなる研究会を設置して情報モラルの効果的な指導手法を検討し、モデル校で研究(60校で1年間研究)。また、教員からの質問に情報モラル等の指導経験を持つ専門家が答えるヘルプデスクを開設するとともに、教員・子どもを対象にした普及啓発事業を実施する。

 また、インターネットが使い方によっては危険を招くことを盛りこんだ新家庭教育手帳を小学生を持つ保護者に配布。フィルタリングソフトの活用についての理解と普及もPTAなどを通じて図る。

 地域では、青少年と保護者を対象にしたメディア対応能力の育成などを行う事業を拡充する(47か所)とともに、社団法人日本PTA全国協議会が実施しているテレビ番組の全国モニタリング調査やNPOが実施している子どもとメディアの実態調査等を継続支援する。


【対策重点プログラムの主な内容】

●命を大切にする教育の充実

  ・心に響く道徳教育推進(拡充)
  ・伝え合う力を養う調査研究(新規)
●安心して学習できる学校環境づくり
  ・子の変化に対応できる相談体制
  ・「生徒指導協力員」の配置(新規)
●情報モラル・マナーの指導
  ・情報モラル等指導サポート事業(新規)
  ・フィルタリングソフト利用促進


【2004年9月4日号】