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TOP教育マルチメディア「検定」活用 記事 
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 児童・生徒の学ぶ意欲を育むためのツールのひとつとして、「検定」が注目されている。「検定」は、PISA型学力の向上に寄与するものや基礎学力の向上に役立つもの、キャリア教育や就職活動、自己PRに役立つもの、ビジネススキルに活かせるものなど、様々だ。本特集では、様々な検定から、子どもはもちろん、教員自身のスキルアップに活用できる注目の検定を紹介する。

【言語力検定】
財団法人 文字・活字文化推進機構

無回答率はPISAより低いが読解力の育成はまだまだ必要


 財団法人文字・活字文化推進機構は、昨年秋に第1回言語力検定を実施し、全国で約1万人が、日本で初めてのPISA型読解力の検定に挑戦した。2003年、2006年に実施されたOECDのPISA調査(学習到達度調査)では、日本の生徒の結果が毎回下がり、OECDの平均15%よりも高い無答率25%と、白紙解答の多さが注目を集めたが、PISAの読解力測定をモデルに日本の言語文化を尊重しつつ選択式問題と記述式問題で構成した今回の検定結果では、PISAほど顕著な無答率は見られなかった。

 第1回言語力検定は、3・4級(中学・高校生レベル)が平成21年10月〜11月に全国で実施された。受検者数は小学生から社会人まで合計9984名。3級合格者数は2167名(全受検者の21・7%)、4級は1385名(13・9%)。

 各学校・団体には受検者の個別の成績のほか、団体平均と比較できる平均値のほか、読書指導や言語力向上のための指導のポイントを提供した。
 専門家は今回の無答率がPISAほど高くなかった結果について、「理由はいくつか考えられるが、自由に書く、自分の意見を延べる、という活動を学校で近年進めてきた成果が上がってきたとも考えられる」と述べた。

 一方で「今回はPISA型の問題として決して難しいものとは言えず、課題文も難易度レベルは高いとは言えない割には、正答率、合格者比率とも低いと言わざるを得ない。自分の考えを的確に、論理的に述べる・書くことについてはまだ課題があり、総合的な読解力の育成はまだまだ必要であることが示唆されている。書かれている情報に基づいて推論を積み重ね、自分の意見に結び付けて形成していく、という部分について訓練していない子どもは戸惑ったことが予想される」と話す。

 受検した学校の先生からは「これまでになかった表現力を問う検定として良い機会だったので参加した」、「普段の国語の成績が良い生徒が不合格だったり、能力不足だと思う生徒が3級に合格していたので意外」、「検定の結果は内部推薦に反映させる」、「結果は個別指導、今後の授業の全体的な指導材料として活用していきたい」など前向きな感想が多かった。




第2回言語力検定は9月25日から10月24日に実施。
申込は6月1日より。10名以上の団体受検。
3・4級(中学・高校生レベル)に加え、5・6級(小学校3〜6年生レベル)を実施予定。
受検料は3・4級3000円、5・6級2000円。
詳細は財団法人文字・活字文化推進機構  http://www.gengoryoku.jp/

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【2010年4月3日号】

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