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第6回教員研修支援プロジェクト
関東・中京・関西で研修を実施



 教育家庭新聞社は今夏もITに関わる研修を関東、中京、関西の3ブロックでサポートした。これは、教員研修支援プロジェクトとして、教育委員会が主催する研修に講師やカリキュラムを提供しコーディネートしているもので、今年で回を重ね6回目。提供内容はデジタルコンテンツ活用、機器活用、ITを活用した小学校英語研修の3コース。主催は各地区教育委員会。協賛 NTTコミュニケーションズ株式会社、日本アビオニクス株式会社、株式会社日本コスモトピア、株式会社プロンテスト。

【デジタルコンテンツ活用コース】
机間巡視中に映像操作も フラッシュ型、動画教材等体験

最初に参加者の要望を即時投影し整理
最初に参加者の要望を即時投影し整理

 「デジタルコンテンツに先生が意志をもって書き加えた瞬間に教材になり、作ったデジタル教材は記録したりもできます」
 「単元の中で教材のヒントとして使えるものがNICERなどのサイトに入っています」
 と語るのは、講師のNTTコミュニケーションズ・上草憲昭氏。上草氏は京都市、奈良県、東京都武蔵野市、千葉県印西市でデジタルコンテンツ活用コースの講師を務めた。

 まず、研修参加者に担当教科と校種を聞き、電子黒板のように白板を出し文字をペンやマウスで書けるプレゼンテーションソフト「ことだまレクチャー」に参加者の担当教科や学年を整理していった。

 全国の教員が手作りしアップした約6700のフラッシュ型教材(パワーポイントのファイル。http://eteachers.chie
ru.net/web/)を紹介。音符記号を映し、みんなで手をたたき拍子をとる。市役所、町役場、学校、警察、発電所などの地図記号をスクリーンに映し記号の意味を聞く。また、四字熟語、対義語などの穴埋め教材も紹介。熟語、対義語を考えるだけでなく、手を上げて空間に書けば、漢字の練習にもなると指導方法のヒントを指摘する。

 教科書会社が作成している国語や英語のデジタル教科書教材の説明では、iPhoneやタッチスクリーン式の小型ノートPCで机間巡視中に映像を操作したり、スライドに書き込みができることを示すと、参加者は一段と興味を示した。

 さらに、茶道や化学が学べるすぐれたビデオ教材、デジタル写真から簡単にビデオを作製できるMicrosoft社の無料ソフト「Photo Story3」も。
 また、「自動車工場の生産過程の動画が欲しい」という要望に応えて、Googleでの検索方法も伝授した。キーワードを4つぐらい入れて検索すると、探しやすい。

ユニークなコンテンツに興味津々
ユニークなコンテンツに興味津々

【ITを活用した小学校英語コース】
アニメコンテンツで模擬授業 色紙も活用、体全体で表現へ

 埼玉県桶川市、愛知県常滑市、兵庫県加古川市で「ITを活用した小学校外国語活動研修」の講師を務めたのは日本コスモトピアの宮沢哲也氏、岡本百合香氏。

 両氏はまず授業事例として、同社の小学校英語用コンテンツ「えいごクラブ」を使い、歌やチャンツで、What fruit do you like?≠ニいった基本フレーズを覚えて子どもたち同士でインタビューしあうという形式の授業事例を紹介。

 続いて、「Colors」と「Where is the zoo?」という2つのコンテンツを用いて模擬授業を行った。

 色を覚える「Colors」では、宮沢氏がALT役、岡本氏が担任役になり、それぞれ色紙を持って、What color do you have?∞green=Apink≠ネどとやりとり。また、研修参加者も配布された色紙を手に持ち2人1組になり、さらに色紙を交換して、What color do you have?∞yello
w=Ared=Awhite≠ネどと実際に児童の立場で授業を体験した。

 道案内を通じて右・左を覚える「Where  is the zoo?」では、ユニークなクマのアニメーションが登場。go straight∞turn right∞turn left≠ニいった表現をクマの動きに合わせて楽しく学ぶうちに、right hand=Aleft foot≠ネど体全体で表現する体操へと発展、参加者はアニメの楽しさに惹かれたようだった。

 「えいごクラブ」はインターネット配信型のコンテンツで、契約条件により家庭でも使用できる。子どもたちの「動き」「活動を促す」ことを重視した作りで、教室のどこからでもよく分かる単純なアニメーションであること、もコンセプトにされている。

■発音は難しくない コツの理解で上達

 埼玉県朝霞市、千葉県印西市で実施された「ITを活用した小学校英語研修」ではプロンテストの奥村真知社長(著書に「英語は発音力(中経出版)」「オバマネ」(ディスカヴァー21)など)が、英語ノートデジタル版の紹介や英語の発音をきれいにするちょっとした『コツ』について講演した。

 「発音は味覚に似ていて、3代ぐらいかかってその土地の音になっていきます。しかも、発音してみて口ざわりが悪いときには、発音も文法も間違っていることが多いのです」とのこと。奥村氏は、20年余に渡る自らの英語指導の中から、「日本人が英語が苦手な大きな理由はカタカナ英語にある」と強く感じ、発音指導の出来る専門家が少ないことから、(独産業技術総合研究所と「具体的に発音を直せるソフト『発音力』」を共同開発した。

 奥村氏は「英語ノートの各ページの使い方は、ふだん先生方が使われている指導のスキルを使われるとすばらしいものになるが、さらに、生徒があこがれるような、かっこいい発音ができるように練習してほしい」と言及する。

 海外転勤、海外出張、学会発表…誰でも、急に英語を使わなければならない時が来てしまう時代。

 英語ノート1及び2は、「世界の『こんにちは』を知ろう」にはじまり、「将来の夢を紹介しよう」で終わる。奥村氏は挨拶の発音の重要性を指摘し、「子どもたちが英語の音に馴染んでいくそのすべては、挨拶からはじまります。その最初が先生方のHello ! ≠ナす」と話す。

 続いて参加者に声を出させて発音練習。8個の子音と6個の母音を練習すれば発音がかっこよく聞こえるようになると説く。

 特に[i]の音をイとエの中間に変えるだけで、ネィティブ度が上る。「u」はウとオの間、[∧]は口をあまりあけない、「あ、しまった」のアなどと伝授。苦手な人の多い[th]の発音も、「ざ」というよりは、[da]で代用してもかまわないとのこと。

 「口は『世界共通の楽器』、英語の音であっても、発音は難しくありません。ちょっとしたコツさえわかれば、英語がうまくなる一番の近道が『発音練習』です。日常の中で音に親しんでください」と語った。

 プロンテストの発音矯正ソフト「発音力」は学習者の発音をPCが診断。舌の位置や口のあけ方など、録音した声に対して今どうなっているのかを指摘し、どこを直せばいいかをそのつど、アドバイスの文とアニメで教えてくれる。「発音力」は、現在のバージョンに加えて、9月中旬に「英語ノート対応版」ができる。

【IT機器活用コース】
グループ別に接続・活用法を学ぶ 拡大投映すれば生徒に鮮明に

一から接続・設定を体験後、活用方法を意見交換
一から接続・設定を体験後、活用方法を意見交換

 「今までデジカメ画像をテレビに映していましたが、教室のすみにあって子どもたちが見にくい。プロジェクターであれば大きく映せるし、ホワイトボードに投影・書き込むこともできます。書画カメラも有効です」と研修参加者。

 東京都武蔵野市、多摩市の機器活用コースは、日本アビオニクス・天野由紀氏が講師になり、ICTを活用した授業の効果、プロジェクターや周辺機器の使い方についての解説とワークショップが行われた。

 解説では、黒板投影モードなどの進化する機能や授業事例を紹介。
 ワークショップは4、5人ずつのグループに分かれ、各グループに書画カメラ付きのプロジェクタを用意し、操作に詳しいスタッフが付いた。

 プロジェクターをはじめて操作する先生も理解できるように、電源の入れ方やリモコンで色合いなどを調整して最適画像を投影する仕方、PCとの接続やPC画像がうまく表示されないときの対処法なども体験。書画カメラに教科書や小物を置いて、実物を簡単に美しく投影できることも学んだ。

 一通り機器操作を体験後、いかに活用できるかグループ内で意見交換し、代表者の発表へと移った。
 発表では、「デジタルカメラとこうしたプロジェクターを組み合わせれば、ICT機器をもっと活かせるでしょう。よく使うフラッシュカードも、書画カメラにより大きく提示できれば後方の子どもたちも見やすい。」とA教員。

 B教員は「子どもたちが実際に書いた観察カードを書画カメラで大きく提示できるのはいいですね。また、花の学習で、実物を教卓で見せても子どもたちが一斉に寄ってきて後ろの子は見えない。投影すれば良く見えるでしょう」と活用方法とICTの利点を語っていた。

10月11月の教育イベント
第13回 視聴覚教育総合全国大会
第60回 放送教育研究会全国大会 合同大会(愛知大会)ネットワーク社会における豊かな学びとメディア
内 容
 デジタル映像機器、地上デジタル放送、小型・高照度プロジェクター、電子黒板等ほかメディアを活用した教育活動を学び合う。[1日目]保育・授業・施設公開、分科会(豊橋市円通寺保育園、こども未来館ここにこ、岡崎市立羽根小、豊橋市立羽根井小、豊田市立童子山小、岡崎市立甲山中、豊橋市立羽田中、光ヶ丘女子高、岡崎市図書館交流プラザ、岡崎ニューグランドホテルなど) [2日目] 全体会・研究分科会・展示研究会(岡崎市民会館・甲山会館)
主催 全国放送教育研究会連盟、NHK、視聴覚教育総合全国大会連絡協議会
日 時
 10月27日(火)・28日(水)
第35回 全日本教育工学研究協議会全国大会(つくば大会)「わかる授業・魅力的な授業」「情報活用能力の育成」のためのICT活用
内 容
 [1日目]公開授業(つくば市立竹園東小、同竹園西小、同竹園東中、茨城県立並木高校)、基調講演「新学習指導要領に対応したICT教育の在り方」、シンポ「管理職のための戦略的ICT研修」、懇親会(つくばカピオ) [2日目]分科会・シンポ「現場からの提言:ICTを活用した『わかる授業』『楽しい授業』を全ての先生に」(つくばカピオ)
日 時
 10月30日(金)・31日(土)
第42回 全国小学校理科研究大会 東京大会知識基盤社会の時代を切り拓く人間を育てる理科教育
内 容
 [1日目]全体会、講演会(東京大学山上会館 安田講堂)基調提案「自然から学び、科学的に考え、共に知を更新する理科学習」浅井正秀(全国小学校理科研究大会東京大会研究部長)、指導講和 日置光久(文部科学省初等中等教育視学官)、講演 養老孟司(北里大学教授) [2日目]公開授業、分科会(江東区立浅間堅小、江戸川区立小岩小、日野市立第四小、国立市立国立第五小、新宿区立戸塚第二章、渋谷区立常盤松小、世田谷区立八幡小、東京学芸大学附属世田谷小、北区立滝野川小、練馬区立豊玉第二小)
日 時 10月29日(木)・30日(金)
会 費 6000円
第42回全国中学校社会科教育研究会社会について考え続ける力を育成する社会科学習の創造〜思考力を高める討論を取り入れた授業の在り方
内 容
 [1日目]全体会(ウェルシティ宮崎)基調提案、記念講演 [2日目]公開授業・研究発表・分科会(地理的分野=宮崎市教育情報研修センター、歴史的分野・公民的分野=JA―AZM)
日 時 11月19日(木)・20日(金)
第47回全国小学校社会科研究協議会全国研究大会神奈川大会
内 容
 [1日目]全体会、記念講演「知識基盤社会における社会科の授業改革」佐藤学(東京大学大学院教授)(横浜市文化会館)、 [2日目]公開授業(横浜市立平沼小、同立野小、川崎市立立花小)、全体会(関内ホール)ほか
日 時 11月12(木)・13日(金)
第3回 ことばと学びをひらく会言語活動を通して学びを変える―基幹教科としての国語科の役割
日 時 10月24日(土) 10:00〜16:45
内 容 基調講演「今なぜ、言語活動の充実か」(高木まさき)、記念講演「日本語は『乱れて』いるか」(池上彰・ジャーナリスト)、講座「初歩からの新学習指導要領中学校『国語』」、「今さら人には聞けない国語の授業」、小中学校向けワークショップなど。
主 催 ことばと学びをひらく会(会長 高木まさき・横浜国立大学)問合せTEL=03・3493・5778
第92回 初等教育研究発表大会学びの実感がある授業をつくる
内 容 公開授業・全体会・授業別協議会T・U(各教科、総合、道徳、養護)・対談「日本の教育界のリーダー 本物の学びを語る」奈須正裕(上智大学教授)、椙田萬理子(奈良女子大学附属小学校副校長)
日 時 11月28日(金)
会 場 山口大学教育学部附属山口小学校
会 費 3500円 ※当日受付あり
『超』一流に学ぶ学力セミナー 〜「活用型」学力を育てる授業
内 容 公開授業「算数」「国語」、講演「算数」田中博史(筑波大附属小)、「国語」あまんきみこ(童話作家)
日 時 11月27日(土)9:30〜16:00
会 場 山口県総合保健会館
参加費 4000円 http : //www.kyoushinochie.net/

【2009年09月05日号】


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