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情報技術の波 学校にも
教育の情報化ビジョン骨子(案)まとめ

 文部科学省は、「教育の情報化ビジョン骨子(案)」(以下、「骨子(案)」)を中間的に取りまとめた。「骨子(案)」は、21世紀にふさわしい学校と学びの創造を目指すために今すぐ取り組むべき課題について明確にしたもの。「学校教育の情報化の推進は、21世紀にふさわしい学校と学びを創造する鍵」として、子ども同士の教え合い学習と双方向授業の実現、教職員の負担軽減、児童生徒の情報活用能力の向上などを実現する。8月には「骨子(案)」の具体的な検討を目的としたワーキンググループがスタート、それを踏まえて本年度中に学校教育の情報化に関する総合的な推進方策「教育の情報化ビジョン」を策定する考えだ。 

自治体の正しい理解と管理職研修の成功の鍵

■21世紀の学び

  「骨子(案)」第1章「21世紀にふさわしい学びの創造」には、21世紀を生きる子どもたちに求められる力とその根拠、そのために学校教育の情報化が果たす役割について述べられている。学校教育は、「子どもたちの情報活用能力の育成」、「教科指導における情報通信技術の活用」、「教職員が情報通信技術を活用して情報を共有することにより、よりきめ細かな指導を行い、校務負担の軽減を図る」ことを通して教育の質を向上させ、日本の国際競争力を維持・強化し、国際社会に貢献することが求められている。


■デジタル教科書

 「骨子(案)」では、指導者用デジタル教科書、学習者用デジタル教科書、デジタル教材を明確化した。指導者用デジタル教科書は既に各教科書会社の開発が進んでいるが、学校設置者が容易に入手できるような支援方策を検討する。「学習者用デジタル教科書」及び情報端末については、実証研究を進める。
デジタル教材については、各地域で作成されたものを全国レベルで集積・共有化を検討する。
これらの教材を円滑に活用するためには、校内無線LAN環境の構築が必須であるとしている。また、電子黒板、プロジェクター、実物投影機、地上デジタルテレビ等提示用デジタル機器の活用も引き続き推進する。

 

■校務の情報化

 学籍・出欠・成績等の管理、教員間の指導案、子どもたちの学習履歴の管理、家庭・地域との情報共有を支援する校務システムの導入を推進していく。学校に対する行政調査はオンライン化し、校務におけるクラウド・コンピューティング技術の活用の検討を進める。その際は韓国の例も参考にし、費用対効果、セキュリティのリスク等を検討、中長期的には全国ベースの総合的な管理運営体制構築の可能性も検討する。


■教員への支援

 現職教員の研修を強化、新たな教員養成カリキュラムの開発や履修体制を構築する。大学の教職課程等において、情報端末、デジタル機器、ソフトウェアに触れる機会を充実させる。附属学校の役割を強化する。教員採用においては、ICT活用指導力を十分考慮した採用とする。
教育CIO、学校CIOの重要性の認識を深め、ICT支援員の配置を進める。


■成功に向けて

 「骨子(案)」について7月28日に第8回「学校教育の情報化に関する懇談会」が開催された。ICT化の重要性は今学校で学んでいる子どもたちが世界で生き抜くために「学び合い」のスキルを育む礎となるものであり、その認識をより深める必要がある。また、「100万人の教員のICT活用を成功させるためには、学校CIOである管理職がキーポイントになる」、そのためには「教育CIOすなわち自治体の首長との連携が必須」、「管理職研修が成功のカギ」、「本計画が地方自治体の財政力の格差等により未達成にならないよう、財政支援を強化すべき」という意見が出た。

■WGスタート

  「骨子(案)」を踏まえ、今後は「教員支援WG」「情報活用能力WG」「デジタル教科書・教材、情報端末WG」3つのワーキンググループを設置、具体的な作業・検討を進めていく。8月中にはスタート予定だ。 

【2010年8月7日号】


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