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第1回ICT教育国際交流会議
「ICT教育政策のこれからを考える」

イギリス、インドネシア、マレーシア、日本の教育ICT

学校評価で予算の追加配分も

  第1回ICT教育国際交流会議「ICT教育政策のこれからを考える」が9月24日、東京で開催された。主催はJAET(日本教育工学協会)。イギリス、インドネシア、マレーシア、日本の教育ICT政策担当者が各国政策の現状とこれからを報告した。マレーシアでは、教育ICTは長期ビジョンに基づいて着実に進んでいる。また、インドネシアとマレーシアでは各校の情報化の進展度を評価、ポイントの高い学校には予算を追加配分している。

■ 日 本

1人1台PCを検証

 斎藤晴加・文部科学省生涯学習政策局参事官は日本の情報化政策について報告した。文部科学省の教育情報化の懇談会が8月にまとめた「教育の情報化のビジョン(骨子)」について、「中心となるのが第3章『学びの場における情報通信技術の活用』の内容。1人1台端末の実証研究を行う予定。そのコンテンツとなる学習者用デジタル教科書の開発は今後の課題。学校種・教科に応じた指導方法や必要機能の見定め、抽出をしていく。他にも校務の情報化、教員支援の方法など総合的な検討を行っている」と述べた。

■インドネシア

3レベルで学校評価

 インドネシア文部省中央情報技術局局長補佐のマダニ・サイマン氏が報告。インドネシアでは、教育ネットワーク「JARDIKNAS」で、文部省、地方教育委員会、小中高等学校及び大学を接続している。
オフィス、高等教育、学校、研究機関、個人向けのメニューがあり、光の屈折やグラフィック、日食・月食等を学ぶことのできるシミュレーション、テスト問題データベースなどを利用できる。
インドネシアでは3つのレベル(インターナショナルスタンダード、ナショナルスタンダード、ベーシックスタンダードの)で学校が評価される。ベストに選ばれると追加予算が出る。 

■マレーシア

全1万校を スマートスクールに

  マレーシア文部省教育水準調査・保障局副局長のシティ・ゼルハ氏が報告。国家の「ビジョン2020」に基づき、ICT計画「スマートスクール」を開始している。
これは、「現代の経済で最も重要なことは、労働や資本、土地ではなく『知識』である」(ピーター・F・ドラッカー、(米国の経営学者)の考えに基づいている。
生徒を情報時代に適応した人材にするために、1999年から2020年までを4段階に区分。現在は第3段階の最終年で全1万校をスマートスクール化。次の第4段階では、その動きをさらに強化する。
国の視学官がモニタリングツールSSQS(SMART SCHOOL QUALIFICATION STANDARDS)を使い、ICT施設が利用されているか否かを査察・5つ星で評価している。2009年の査察では、最高点の5つ星96校、4つ星2412校、3つ星5067校、2つ星662校、1つ星217校。
マレーシアでは1万校をすべてランキングするが、その評価ポイントの1つがICTの活用度で、ベストに選出されると奨励金が出る。 

■イギリス

書画カメラで自信をつける

  ロンドン市ハーベリング教育委員会ICTコーディネータのデイブ・スミス氏が報告。各校におけるICTマークの認定は強制ではなく自主選択でだが、保護者が学校選択をするときの指針の一つになっている。デイブ氏は「子どもたちの潜在的な可能性を追求していくことにICTは役立つ。これまで電子黒板に2020億円が投資され、小学校の各教室に1台ずつ、中学校でもかなりの台数が整備された。電子黒板により、生徒と先生とのやりとりの質が高まる。電子黒板を使いこなす先生のトレーニングやコンテンツが重要。オンラインでコンテンツを提供し教員を助けている。電子黒板を成功に導くツールにビジュアライザー(書画カメラ)がある。ICTツールに長けていない教員に、書画カメラ活用から自信をつけてもらうことに役立っている」と述べる。

【2010年10月9日号】


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